川崎市の文化の向上・発展に尽力した個人や団体に送られる第45回文化賞・社会功労賞などに5氏2団体が選ばれ、11月9日に中原区の川崎市国際交流センターホールで催された贈呈式で福田紀彦川崎市長が受賞者に賞状と記念品などを手渡した。
写真=受賞者(左から)やまだ豊さん、中村憲剛さん、藁科義弘さん、鈴木穆さん、福田紀彦川崎市長、河原郁夫さん、深見政則さん、小泉一郎さん、渡邊嘉久さん
この賞は川崎市が政令指定都市になった1972年に創設され、川崎市の文化、芸術、市民福祉とスポーツなどの向上・発展に尽力した個人と団体を表彰している。
ことしの文化賞にはプラネタリウム解説者の河原郁夫さん、高津区文化協会会長の鈴木穆さん、アマチュア落語家の深見政則さん、影向寺(ようごうじ)重要文化財・史跡保存会(小泉一郎代表)、社会功労賞には医療法人社団和光会総合川崎臨港病院院長の渡邊嘉久さん、スポーツ賞にサッカーJリーグの川崎フロンターレ、アゼリア輝(かがやき)賞に音楽家のやまだ豊さんが選ばれた。
贈呈式には福田市長、徳田賢二川崎市文化賞等選考委員長をはじめ受賞者の家族や関係者など約150人が参列、受賞者ひとりひとりに福田市長が賞状、記念のクリスタル盾などを手渡した(写真左上)。受賞した団体からは川崎フロンターレの藁科義弘社長とキャプテンの中村憲剛選手、影向寺重要文化財・史跡保存会代表の小泉一郎さんが出席、笑顔で賞状などを受け取った。
福田市長が「受賞おめでとうございます。それぞれの分野で活躍され、改めて継続は力でその力が川崎市を豊かにしていると思います。受賞を契機にさらなる活躍で川崎を盛り上げていただきたい」と祝いの言葉を贈った。これに対し、受賞者を代表して河原さんが「栄えある賞に選んでいただき受賞者一同感謝しています。これからもそれぞれの道で努力を重ね、魅力あふれる川崎をつくり上げていきます」と挨拶した(写真右上)。
式典後に川崎フロンターレの中村選手は記念盾を持ち福田市長と歓談。市長が「中村選手が出席してくれることを移動中の車で聞き、とてもうれしかった。チャンピオンシップは市民みんなで応援します」と話しかけると「試合の結果だけでなく、クラブで取り組んできた地域貢献が認められたと思います。選手みんなで活動を続けてきて良かった。この受賞を励みにチャンピオンシップに臨み、良い結果を出したい」と笑顔で応じていた(写真左下)。
受賞者のプロフィールは次の通り(敬称略)
●文化賞
☆河原郁夫(かわはら・いくお、85歳)=文化活動、横浜市
1956年に五島プラネタリウム解説員としてデビュー以来、神奈川県や川崎市などで60年に渡りプラネタリウムの企画・制作・投影・解説・後進の指導などに努める。現在も月に1度かわさき宙と緑の科学館のプラネタリウムで人気番組「星空ゆうゆう散歩」を担当、最新鋭のメガスタースリーフュージョンを駆使してプラネタリウム弁士として活躍、ゆったりやさしい語り口で訪れた天文ファンを星空の世界へ誘っている。
☆鈴木穆(すずき・あつし、79歳)=文化活動、川崎市高津区
地域社会へ奉仕する「高津青年会議」設立に参画し、高津区民祭などさまざまな文化イベントを主催。現在はNPO法人高津区文化協会会長として文化の向上と発展に尽力。地域誌に18年にわたり毎週「高津物語」を連載、川崎市各区の歴史や文化、習俗について1,000回に迫る執筆を続けている。このほか講演、執筆活動を通じて「歴史と文化の香るまち高津」を紹介し、地域への理解や愛着を深める活動を続けている。
☆深見政則(ふかみ・まさのり、73歳)=文化活動、川崎市幸区
アマチュア落語家「清流亭いしあたま」として22年にわたりアマとプロが出演する「さいわい寄席」を主宰、入場者数日本一を誇る名物寄席に発展させた。川崎市の歴史などを題材にした創作落語を手がけ市の歴史や文化を伝えている。長年にわたり青少年指導や子ども会育成会長をとつとめ、小学校で落語教室や本業の珠算を通じて算数科でそろばん授業を務めるなど子どもの健全育成にも貢献している。
☆影向寺重要文化財・史跡保存会(活動年数65年)=文化活動、川崎市宮前区
1951年の結成以来、文化講座の開催や薬師三尊国宝復活運動など1300年の歴史を誇る影向寺の重要文化財や史跡などの維持保存、境内に美化などを行っている。また近隣の小中学校の郷土学習やウォーキングイベントに協力、区民祭への出展など文化財を活用した学習や魅力発信、文化活動に取り組む。こうした活動の成果は、2015年に川崎市内初の国史跡指定となった橘樹官衙遺跡郡「影向寺遺跡」の指定に大きく貢献した。
●社会功労賞
☆渡邊嘉久(わたなべ・よしひさ、73歳)=保健衛生、東京都大田区
1987年に医療法人社団和光会総合川崎臨港病院院長に就任、患者の人格を尊重した医療を提供。川崎市病院協会会長として休日急患の受け入れの当番制など救急対応のシステム構築に尽力し、市の救急医療改善に尽力した。和光会理事長として地域包括ケアシステムのモデルとなる事業の展開、新しい医療・福祉を牽引する。川崎市民交響楽団長を務め、趣味のチェロや料理を生かしたボランティア活動でも地域に貢献する。
●スポーツ賞
☆川崎フロンターレ(活動年数19年)=スポーツ振興、川崎市高津区
1996年に地域密着のサッカークラブとして設立、ことし20周年を迎える。スポーツの普及活動やプロサッカー事業により、健康都市作りや川崎市のイメージアップなど地域社会への貢献を目指す。クラブ創設から積極的に行政や地域のまつりなどに選手、チームマスコットのふろん太君が参加し市民の地元への愛着や魅力を発信し続ける。Jリーグが実施する観戦者調査の「地域に大きな貢献をしている」部門で6年連続1位の評価を受けており、スポーツを通じて川崎の街を元気にする活動をさらに発展させる。
●アゼリア輝賞
☆やまだ豊(やまだ・ゆたか、27歳)=芸術、東京都世田谷区
2007年に高津区の洗足学園音楽大学音響デザインコースに入学、自身の楽曲を演奏するため在学中に首都圏の音楽大学から有志を募り100人規模のオーケストラを結成し後輩たちの伝説となった。2009年に第40回YAMANO Big Band JAZZ Contest ベストランクアップ賞などを受賞。卒業間際の2011年にテレビドラマ「マルモのおきて」で劇伴作曲家としてデビュー、「天皇の料理番」など数多くの話題作の音楽を担当。2016年秋公開予定の「デスノート Light up NEW world」音楽担当などさまざまな音楽を手がけ、今後の活躍が期待される。