川崎市内の美容師ボランティア団体「PRIC(プリック)」(菅原司郎代表)が7月30日に高津区溝口の生活文化会館「てくのかわさき」でカンボジアに学校を作ろうとチャリティー・カットを開催、655,829円の募金が集まった。
写真=てくのかわさきで行われたチャリティーカット
同会では、美容師が技術を提供して社会貢献をと毎年チャリティー・カットを行い、収益を社会福祉団体などに寄付しており今回が17回目。2006年から発展途上国のひとつカンボジアに小学校を作ることを目的にカンボジア大使館の後援を得て社団法人シャンティ国際ボランティア会に寄付、これまで2つの小学校を開校させた実績を持つ。
会場は、同館ホールにビニールシートを敷き会議用の机に卓上鏡や姿見を置くだけの臨時美容室を設営、美容師がボランティアでカットとマユ手入れ行う。カットが1000円以上、マユ手入れが500円以上の寄付と破格料金のため、この日を楽しみにしている常連客も多い。
ことしは来場者の出足が遅く、主催者をやきもきさせたが夕方近くから家族連れや仕事帰りの客が多く訪れ、一時は順番待ちの光景も見られるほどの人気で、10時から21時までの開催時間にのべ367人がカットやネイル、マッサージなどの有料サービスを受けた。なかには「さわやかに応じてくれる美容師さんに感激した」と規定料金以上に募金箱にお金を入れる人もいたという。高津区の山崎尚美さんは「昨年、郵便受けに入っていたチラシを見てこの催しを知り、髪を切って社会の役に立つならと参加しました。カットの仕上がりも予想以上の出来でとても気持ちが良かったので、ことしは子どもの髪を切るの時期を延ばし、この日を待って家族3人で来ました」と笑顔。
会場には、美容に加え頭部や足などのマッサージコーナーも置かれ、待ち時間に試す人も大勢いた。参加した美容師などのスタッフは約90人で、同会会員以外に自分の道具を持って参加したボランティアは60人以上で、川崎市内だけでなく、東京や埼玉県からも参加した美容師もいる。2011年に続き2回目という市外から参加した女性美容師は「私の店は自宅を兼ねた住宅地の小さなサロンなので、この会場で多くの美容師が働いているのを見るのは大きな刺激となります。同じフロアで仕事をするのが楽しかった」と話していた。
同会では、所属する美容師が働いている16店舗に募金箱も置いており、これまでに663,429円が寄せられている。この募金は、今回のチャリティーカットで集められた金額から会場費などの経費を除いた収益金と合わせ、3校目の小学校建設の費用に充てられる。
今回の統括責任者で多摩区で美容室を営む矢花敬さんは「十数年前に美容師仲間とまいた種が、お客様に支えられPRICだけでは運営できないくらい大きく育ちました。3校目の建設資金にはまだ達しませんが、来場してくれた人と美容師のネットワークの広がりに感謝しています」と感激していた。