狛江市の高橋・新市長が7月9日初登庁:財政健全化掲げ、職員に提案呼びかけ、早くも高橋カラー打ち出す

120709komaeshicho01狛江市の高橋都彦(たかはし くにひこ)・新市長が7月9日に初登庁、「高橋市政」がスタートした。高橋市長は、矢野市長からの引き継ぎ、記者会見、職員向けの庁内放送などを次々とこなすとともに、財政健全化、事業の見直し、国や都、近隣自治体との関係改善など、選挙戦で訴えてきた改革策を改めて表明、職員からの提案募集などの高橋カラーを早速打ち出すなど意欲的なスタートをきった。

写真=矢野前市長(左)から引き継ぎを受ける高橋市長

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市民から花束を贈られニッコリ

10時に歩いて市役所前に姿を見せた高橋市長は松原俊雄副市長、本橋昇教育長の出迎えを受け、職員数十人が立ち並ぶ正面玄関前で花束を秘書広報課の職員や市民から受け取ると足早に市役所入り。エレベーターで4階に上がって市長室に入った。市長のイスに座ると「身が引き締まる思い」と第一声。10時30分には矢野裕前市長から事務引き継ぎを受けた後、記者会見に臨み、財政健全化に取 り組む決意を強調するとともに、11時55分からの職員に向けた放送では、改革すべき点についてすべての職員から大小を問わず提案を受け付けると表明するなど、早速に高橋カラーを打ち出した。
高橋市長は笑顔をほとんど見せず終始硬い表情で、これから担う重責にいささか緊張した様子。事務引き継ぎでも、矢野前市長が穏やかな表情を浮かべリラックスした様子なのと好対照を見せた。

 

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市長のイスに座り緊張した面持ち

記者会見で高橋市長は市政運営に向けた方針を表明した。
「市長選挙はたいへん厳しい選挙戦になったが、選挙の王道を歩み勝利できたことに満足している。客観的事実のみを訴え、多くの市民の理解を得られたこ とは大きいと思っている。空白の16年、失われた16年として規定した次の4点については、選挙戦を通じて一定の理解が得られ、その解決の道筋についても ある程度の理解が得られたと考えている。
第1に、財政の硬直化については昨年11月の財務省によるヒアリングの事実を広く明らかにすることができた。前市政が16年かけても立て直すことができなかったということ。むしろ石井市政の時よりも悪化していることも、今後客観的な事実をもって市民に明らかにしていく。私はこれからの4年間で財政健全化の道筋をつけていく。
第2に、交通事故発生率の高い水道道路の安全化対策、利活用されることのなかった水道局用地問題、いずれも16年間進展のみられかったこれらの問題について議会で議論させていただきながら、この1年間でまず道筋をつけます。
第3に、近隣自治体との広域行政に向けた協力関係と信頼関係の再構築についてもただちに空白を埋めていけるようただちに行動します。
第4に、議会との信頼関係も直ちに再構築し、円滑な行政が行えるよう軌道を修正します。
こうした問題の解決と同時進行で、防災対策、子育て支援策、高齢者施策の充実などを誠実に実施していくことで市民の期待にこたえたい。
夢と希望の持てる狛江の未来を市民とともに切り開いていきたいと考えている」

 

会見での質疑応答は次の通り
○初登庁の感想は?
非常に身の引き締まる思いです。
○具体的な財政の立て直し策は?
まず財政比率の確立です。ただ入ってくるものには限りがあるので、徴税努力を地道に積み重ねるとかですが、一番大きなものは行政改革なので、この16年間に生じてしまった無駄を極力排除していく、そうした積み重ねが必要です。これまで国や都との信頼関係が壊れてしまっているので、交付金なり補助金なり得られるべきものが限られていたと思われるので、国や都との信頼関係を再構築する過程の中で、福祉施策など企画力が必要なそうしたものも、私のこれまでの経験を生かしながらやっていきたい。
○16年間の無駄の排除とは、具体的には?
外側から見ただけではわからないものもたくさんあるので、これからじっくり現在の財政状況なり、市の仕組みなり精査して、9月の定例市議会の所信表明で具体的に明らかにしたい。
○16年間の間に土木費が減って民生費が増えたが、それを元に戻すのか?
そういった極端なことは考えていない。ただ、道路などは総延長の120分の1ぐらいしか年間予算で確保されていない。つまり120年たたないと道路が整備されないという状況は明らかにバランスを欠いており是正していきたいと考えている。ただ、それが即ち民生費に跳ね返ってくるとは考えていない。
○土木費として使うべきものでいままで使われていなかったものをもっと充実させるということか?
バランスを欠いているものについてバランスを取り戻していくべきではないかと思う。
○ソフト面で音楽の街とか、絵手紙などをやっているが、そうしたものを前市長のものであるとしてなくすとか、新たな別の色を出すとかを考えているか?
直すということよりも、白紙で見直していく。良いことは続けていく。例えば絵手紙発祥の地(の事業)は、「発祥の地」という言葉にはひっかかるものも感じるので、いままでのやり方や言葉の使い方も含めて見直すべきものは見直していって、良いことは継続していくつもりでいる。前市政をすべて否定するつもりはありません。
○人事については?
全く考えていない。いまどういうようなかたちで仕事が進められているか、まず職員を納得するまでじっくり見させてもらって、それから人事に手をつけていきたい。副市長も直ちに決めるということではない。
○現在の住まいは?
いま入居する家が建築中なので、それができ次第移ってくる。西東京に35年も住んでいたが、新居が完成次第、8月のなるべく早い時期に越してきたい。
○近隣自治体との具体的な交流は?
近隣自治体との協力関係は、例えば防災訓練などは共同で行われていないこともあり、市の財政も厳しいので広域的に利用できる施設などについては、ざっくばらんに結べば、税金の効率的な使い方も含めて互いにつきあっていける。広域行政というのはいろいろと協力しなければ行けない問題があるので、ざっくばらんに(近隣自治体の)市長と意見交換しながら助け合えるものは助け合っていきたい。
議会との関係は、これまで16年間、少数与党できたが、私の推薦団体は多数派となるので、安定多数の運営はできると思うが、議会との信頼関係という意味では、全ての党派とざっくばらんな議論をしながら、市民生活に良い影響が出るように努めないといけない。
○音楽の街については?
音楽の街を立ち上げてから、あまり時間がたっていないので、まだ外に向かって音楽の街と言えるほどの成熟度はないと思う。私のこれまでの経験を生かしながら、例えばもう少し広いチャンネル、(私の)得意分野はクラシックですが、そうしたことも含めて考えていきたい。どういう音楽の街にしていくかということも、一度白紙に戻した上で、新たな音楽の街というものを構築できたらいいと思っている。

11時55分には職員に向けて放送を行った。主な内容は次の通り。

「最も重要視しているのは財政の健全化であり、その実現のために国や都との信頼性の再構築と市民の理解が必要であり、職員の協力が不可欠であると考えています。そのために改革すべき点について大小を問わず提案してほしい。私はウソや面従腹背は大嫌いです。その半面、率直さや誠実であることが信条。その結果として私はこわいともやさしいとも言われてきました。そのどちらも間違っていません。また、公務員は基本的にサービス業だと思って います。どこの職場でも市民には親切に明るく対応してもらいたい。職場が明るく、風通しの良いものであることを望みんでいます」
これについて、高橋市長は「私は現場主義なので、(これまでも新しい職場で)職員からの提案を受け入れ精査してきた。提案は、1000字程度で7月末まで募集したいと考えている」と話した。