任期満了に伴い6月17日に告示、24日に投票が行われる狛江市長選挙に、元東京都職員で公益財団法人東京都公園協会理事長を務めた高橋都彦(くにひこ)氏(60)が5月11日に記者会見し、無所属で立候補の意向を表明した。自民党、公明党が推薦、民主党も推薦の予定。
写真=出馬会見で政策を語る高橋都彦氏
市役所の議会公室で記者会見した高橋氏は、「37年間、都の行政に身を置いてきた。これまで何度か狛江に足を運んできたが、都心から近く、多摩川をはじめとして自然が豊かで、行き交う人も穏やかで暮らしやすい落ち着いた街という印象を持っています。しかし行政的な視点でみると、現在の状況は決して安心できるものではなく、不安要因を多く抱えています。これは市政のあり方そのものの問題で、すばらしい資源を生かしきれていないもどかしさを感じています。今回の市長選にあたり、市内の友人や党派を超えた人から後押しされ、熟慮した結果、立候補することになりました。これまでの行政経験によって国、都に太いパイプがあり、狛江の再生のためその経験を生かしたい」と決意を語るとともに、(1)財政再建(2)行政と市民の信頼関係の構築(3)街づくりの3点を大きな政策として掲げた。
(1)については「地方自治行政に携わった目で見ると見逃すことができないほどで、現状の財政は、公債費比率や財政調整基金などが(都の)26市中で下位に低迷し財政の硬直化が進んでいる。そのことがインフラ整備の遅れとなり、このままでは狛江の美点が損われ、26市中最も住みにくい街になる」と批判した。対策としては、効果的・具体的な数値を盛り込んだ実現可能な財政計画を作成し、強い意志で進めていくことが必要と話し、都職員として非常に厳しい局面でもその都度困難を乗り越えた自信があり、その経験を生かし、強いリーダーシップを発揮して問題解決に取り組みたいと意欲をみせた。
(2)ついては「行政と議会との関係の欠如が16年も続いており、それによって市政のさまざまな問題を解決できないままとなっている」とし、具体的には3年連続決算が承認されないことなどに表れていると指摘した。また、多選の弊害にもその原因があると語るとともに、市長として現場主義を掲げ、市民のところに足を運んで対話するなど地道な努力を重ねて市民に市政の現状を正確に知ってもらい、いま狛江のために何をなすべきかについて意見交換を行いたいという。
(3)については「矢野市政が16年間放置してきたいくつかの問題を解決できる自信がある」と話し、具体的な事業として、東日本大震災以降、市民の防災意識が高まっており、都水道局材料置き場用地の防災公園化は住宅が密集している狛江には急務で、市の財政負担を最小限にして実現をはかる。また、交通事故が多く早急な改善が必要な都道「水道道路」を整備するための協議を始めたいなどと述べた。
高橋氏は大分県生まれで、横浜国立大学を卒業後、1975年東京都に入庁、1999年には政策報道室総合政策担当課長、2003年には千代田区の都庁跡地にできた(株)東京国際フォーラムに出向して執行役員を務め、2005年に都庁へ戻り産業労働局観光部長、2006年交通局総務部長、2008年には産業労働局理事として財団法人東京しごと財団に派遣されて理事長となり、2010年から公益財団法人東京都公園協会理事長に就任、5月10日に退職した。
高橋氏は4月に西東京市から狛江市に転居。5月初旬に選挙母体となる「みんなでつくる新しい狛江」を設立した。既に自民・公明は推薦を決め、民主は都連で手続き中で、陣営によると、市議会の共産党を除く各会派にも推薦依頼を出す予定という。5月18日に選挙事務所を開設、27日夜に総決起集会を開くことにしている。
狛江市は、1996年に共産党の党籍を持つ無所属の矢野裕市長(65)が当選して以来、現在4期目。いまのところ矢野市長は去就を明らかにしていない。