多摩川の多摩水道橋下流の狛江市側河川敷で8月20日、「狛江多摩川灯ろう流し」(多摩川灯ろう流し実行委員会主催、狛江市観光協会後援)が催され、訪れた数百人の見物客たちは暗い川面を彩る約600基の光を静かに見つめて、先祖や東日本大震災でなくなった人をしのびながら、昔ながらの夏の風物詩を楽しんでいた。
写真は夜の多摩川を彩る灯ろう
今回は、地域の物故者に加え、東日本大震災で亡くなった人のめい福を祈ることことも盛り込まれて催された。当初は19日に開く予定だったが雨のため準備が出来ず、1日延期された。
会場の河川敷には午後5時過ぎから次々と市民が訪れ、灯ろうの申し込みを受け付けるテントでは故人の供養を申し込む人もいた。
日が落ちて暗くなり始めた午後6時30分過ぎ、市内の6寺院の僧りょによる読経が流れるのを合図に、川にこぎ出した屋形舟では、舟いっぱいに積み込みこんだ灯ろうのろうそくに次々と点火、小田急線鉄橋下あたりから川面に浮かべられた。灯ろうが静かに水面を照らしながら光の帯をつくると、川岸をうめた見物客たちは、光の模様の変化をうっとりと眺めていた。法要会場のテントでは、焼香を待つ人が大勢並び、亡き人の面影をしのび、めい福を祈っていた。
途中、雨が心配されたが、降り出したのは灯ろうが流し終わったころで、主催者をほっとさせた。
狛江市仏教会によると、同市では文政8(1825)年に元和泉の当時の泉龍寺住職が名主の協力で亡くなった人の功徳をしのぶ「川施餓鬼(かわせがき)法要」を復活させたという記録が残っている。灯ろう流しは昭和初めから催され、その後何度かの中断したが、花火大会と同時に催されていた。花火大会が中止となった2004年からは、同市内の6寺と市民ボランティアなどで実行委員会を結成、世界平和と環境保全を願って毎年催している。