川崎市麻生区にある川崎市アートセンターのアルテリオ小劇場で7月に劇団民藝(同区黒川)が公演する「アンネの日記」の17代目のアンネ役に、同市多摩区在住の八木橋里紗さん(23)が選ばれた。同劇団が公募していたもので、4月14日のオーディションの結果「作品世界を良く読み取り、豊かな感性と演技への真摯(しんし)な姿勢」が評価された。
同劇団では、4月24日に川崎市アートセンターで公開けいこを開催、見学者を募集している。
同劇団がアルテリオ小劇場を利用するのは初めて。
写真=最終オーディションでアンネ役を熱演する八木橋里紗さん(写真:劇団民藝提供)
同劇団では、1956年の「アンネの日記」の初演以来、これまで12回、1600ステージを超える公演を行っている。
アンネ役は公演のたびにオーディションで選考してきた。ダブルキャストだった年もあり、これまでに16人のアンネ女優が誕生、樫山文枝さんなど劇団の看板女優となった人も多い。
17代目のアンネを選ぶオーディションでは、少年のペーター役も公募、2つの役に合わせて195人が応募した。
4月10日13時から同センターアルテリオ小劇場で最終審査を行った。この審査には、書類審査や面接などで残ったペーター役3人、アンネ役13人が臨んだ。本番でも使われる舞台に立った参加者は、そろって自己紹介の後(写真左:k-press撮影)、1人ずつ舞台の中央に上がり、11回目の公演でアンネとペーターを演じた同劇団の神敏将さんと藤田麻衣子さんを相手に、アンネとペーターが会話するシーンを演じた。なかには緊張してせりふの一部を忘れた受験者もいたが、メジャーデビューの絶好の機会とあって、参加者たちは力のこもった演技を披露した。
審査にあたったのは、劇団長老格の大滝秀治さん、奈良岡朋子さん、6代目アンネを演じた日色ともゑさんなど俳優と訳・演出の丹野郁弓さん、青木茂夫・川崎市アートセンター館長、北條秀衛・川崎市文化財団理事長の10人で、東日本大震災についてどう思うか、アンネの好きな言葉、演技の自己採点などについて一人ひとり聞いた。
審査後、奈良岡さんは「黒川の劇団けいこ場でなく、初めて舞台で本番に近い形でオーディションをやり新鮮に感じました。短い時間で何回かふるいにかけることの難しさを感じます。役者は10代で花咲くこともあれば、40代、50代で良くなることもあります。別の役の方がふさわしいと感じた人もいたので、慎重に選びたい」と話していた。
会場で合議のうえ、劇団に持ち帰って審査を深めた結果、八木橋さんを選んだ。ペーター役には、公募と同時に劇団内部で行っていたオーディションで、同劇団の新人俳優、本廣真吾さん(25)を抜てきすることにした。
公演は7月21日から31日で、入場は一般5,000円、学生2,000円。公演時間などの詳細は同劇団のHP(こちら>)。
公演に先立ち、同劇団では、ゴールデンウィーク中に新百合ヶ丘周辺で催される「アルテリッカしんゆり2011(しんゆり芸術祭)」のプレ・イベントとして、4月24日14時から「公開稽古」を実施、見学希望者を募集している。
参加は、名前(ふりがな)、郵便番号、住所、電話(自宅の固定電話と携帯電話)、希望人数(2人まで)、メールアドレス、公開稽古を知った方法の必要事項を明記し、川崎市アートセンターのチケットカウンター窓口に直接(9時30分〜19時30分)またはFAX(044-959-2200)かメール(anne@kawasaki-ac.jpで、件名に「公開稽古申込」と記入して4月20日までに申し込む。
定員は先着100人で、費用は無料。
問い合わせは電話044-955-0107川崎市アートセンター。