調布市の味の基スタジアムで3月27日、東北地方太平洋沖地震の被災者を支援しようと、FC東京と横河武蔵野FCがトレーニングマッチと義援金募金やチャリティーオークションを行った。家族連れなど9,000人を超える観客が久しぶりの試合を楽しむとともに、被災地への募金に協力した。
主催したFC東京は、集まった義援金は8,332,637円に達し、オークションは2,470,838円になったと発表した。
写真=FC東京の募金活動
会場は、久しぶりの試合観戦を楽しもうと開門前から大勢のサポーターが並んだ。
チーム毎に分かれたゲート脇の通路では、両チームの選手が並び入場者に募金を呼びかけていた。東京側では募金箱の置かれたスタメン選手と握手する観客も多く、中には、選手の前に置かれた箱全部に募金する親子連れもあった。
注目のオークションは、選手11人から提供されたスパイク、スニーカー、移動着のほか、インテルに移籍した長友佑都選手から南アフリカワールドカップ時に使用していたスパイク、この日の練習試合の主審を務めた西村雄一さんの2010年のFIFWレフェリーウエアー、塩田仁史選手が2004年のナビスコカップ優勝時に着用したGKウエア−ウエア−も出品され、写真撮影するファンも多くいた。オークション入札には665人が参加、長友選手のスパイクは100万円以上で落札された。
バックスタンドにはFC東京の選手入場で歌われる歌詞を入れた「頑張ろう日本 You’ll Never Walk Alone」の横断幕が掲げられ、客席では入場時にFC東京のタオルのほか被災地ベガルタ仙台のタオルを掲げる人もいた。観客席には、福島などから避難している90人が招待されて観戦した。
全員が喪章を付けてのぞんだ試合は、45分の2本。互いの出方をうかがうように始まった1本目、序盤、東京は横河の固い守りにチャンスを阻まれ、12分に横河のFW関野達也にPKを与え先制を許した。カテゴリーの下のチームに与えたゴールに目覚めた東京は反撃、21分にFW平山相太がヘディングで同点に追いついた。その後、しばらくこう着状態が続いたが、41分にMF梶山洋平、44分にFW鈴木達也、45分に平山が立て続けにゴールを決めて4対1で1本目を終了した。
2本目も、先に点を上げたのは横河、MF都丸昌弘が9分にゴールを決めた。その後は東京ペースで16分、27分に平山、42分に途中交代のMF中村北斗、ロスタイムの91分にはフル出場したMFO大竹洋平が技ありのフリーキックをゴール隅に決め、合計8対2と格上の貫禄を見せて終了した。
試合後は、両チームで記念撮影、客席からはあたたかな拍手が贈られた。4ゴールを決めた平山選手は「被災地の人たちに元気を与えることができればよいと思っ てプレーし、ゴールができた」と話した。一方、横河武蔵野の依田博樹監督は、「地震後、電力事情などで練習ができなかったので、きょうは30分ずつ全員(29人)出場させた。始めの30分はしっくりできたが、実力の差を感じた。1万人近くの観客の前でプレーできたことは励みで、社会人として募金に参加するなどの経験を生かし、来週から早朝練習を行う。被災したソニー仙台も参加できるよう願い、JFLの開幕に備えたい」と話した。
阿久根謙司社長は「大勢の観客が来場し、驚いている。味スタをはじめ、警備会社など多くの協力で開催できたことを感謝しています。被災地の観戦者をはじめ、観客に楽しんでもらえたら、うれしい。味スタはナイターでは4,800kw/hの電力が必要だが、きょうは電光掲示板も使わずマイクなど必要最低限の550kw/hで済み、電力不足のなかで味スタを使う勉強にもなりました」とほっとした表情で話していた。
写真(上から)=オークションの商品を見る観客、ベガルタ仙台のタオルを掲げるサポーターも、1本目12分横河FW関野選手のPK ,1本目45分東京FW平山(左端)の2得点目、1本目41分・東京MF梶山(中央)のゴール、横河の募金、試合後の集合写真