川崎市の高津市民館で1月22日に全国円筒分水サミット:「昭和の先端技術保存しよう」、写真展も同時開催

110114mokei 二ヶ領用水の竣工400年と川崎市高津区の久地円筒分水の完成70年を記念し、川崎市の高津市民館大ホールで1月22日午後1時30分から初の「全国円筒分水サミット」が催され、円筒分水のある全国各地の関係者などを招いてシンポジウムを開く。

写真=サミットで展示される久地円筒分水の模型(高津区役所提供)


円筒分水は、農業用水などを正確に分水するため、大正時代から昭和時代前半に全国各地に作られた利水施設。久地円筒分水は、1941年に「多摩川右岸農業水利改良事務所」所長だった農業土木技術者・平賀栄治が設計した。二ヶ領用水の流量変化にかかわらず、下流の耕地面積によって割り出した比率で久地二子、六ヶ村、川崎、根方の4本の堀に流した。
同用水は、流域の都市化が進み農業用水としての役割はほとんど終わったが、久地円筒分水はサイフォンの原理と円周の比率を利用して正確に分水する、当時としては画期的な高い技術を備えた建造物として、1998年に国の登録有形文化財に登録された。
久地円筒分水を地域の貴重な財産として将来へ引き継ぐための保全・活用と「水」の共生をみんなで考えようと、高津区役所と同区民が連携して「全国円筒分水サミット2011 in たかつ 実行委員会」を結成、開催の準備を進めてきた。
当日は、「円筒分水の魅力」の演題で円筒分水研究家の金山明広さんが記念講演、特徴的な取り組みをしている群馬県高崎市、大分県竹田市、久地の円筒分水の事例を報告する。その後「水との共生」をテーマに、パネルディスカッションが行われる。パネラーは高崎市と竹田市の円筒分水関係者、船橋兵悟・高津区長、コーディネーターは田中友章明治大学理工学部准教授。サミットは午後5時までで、定員は先着300人。参加は無料。サミット翌日の23日には久地円筒分水、二ヶ領用水など区内の水と緑を感じられるスポットを歩いて紹介するエクスカーションも行われる。集合は午前10時、JR南武線武藏溝ノ口駅改札前集合、参加費は200円(保険料)で、交通費は自己負担。
サミットに先立ち、1月12日から同館11階ウォールギャラリーで、円筒分水写真展が催されている。
展示しているのは、市民から公募して審査した入選作品57点と昔の円筒分水34点、全国17カ所の円筒分水の写真。同館での展示は1月25日までで、開館時間は午前9時から午後9時まで。
写真展は、2月1日から10日高津区役所1階の市民ホールでも展示する。こちらの展示時間は午前8時30分から午後5時。
また、同館には円筒分水の仕組みが子どもたちにも理解できるようにと、久地円筒分水の模型が展示されている。模型は、二ヶ領用水竣工400年記念プロジェクトの高津区事業を担当する「二ヶ領用水プロジェクトinたかつ」が企画、市民から寄付を募り費用を捻出。
円筒分水の調査にも関わった同区内のコンサルタント会社・日本ミクニヤ(株)が、調査時の資料や写真を基に60分の1のスケールで制作、円筒分水の構造を横から見ることができ、水も流れる仕組みになっている。円筒分水サミットでも展示するほか、希望に応じて小学校などの学習にも貸し出される予定だ。
サミットの問い合わせは、電話044-861-3131高津区役所企画課内 全国円筒分水サミット2011 in たかつ 実行委員会。