川崎市麻生区役所広場で1月7日、「第8回あさお古風七草粥(がゆ)の会」が催され、家族連れやお年寄りなどが、区内で取れた米と、春の七草のダイコン(スズシロ)、カブ(スズナ)、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホチケノザ、セリに焼きもちが入った手作りの「ふるさとの味」を屋外で楽しんだ。
写真=麻生区役所広場で七草粥を味わう家族
七草粥の会は、麻生区文化協会(菅原敬子会長)が、無病息災を祈る地域の食文化を多くの市民に楽しんでもらおうと、2004年から麻生区役所の協働推進事業として実施。最近は1月7日の朝に七草粥を作る家庭も減っており、人気のイベントとなっている。
伝統行事が手軽に楽しめるとあって、会場には開始予定の午前11時前に次々と人が訪れ、100人以上が行列。青空は広がるものの朝から冷え込みが厳しかったため、予定時間を10分繰り上げて配り始めた。
来場者は、和服にかっぽう着姿の文化協会の女性らがよそった粥を「体が温まる」「家で作るより楽」などと話しながら味わっていた。なかには熱々の粥に息を吹きかけて冷ましながら幼児に食べさせるお母さんもいた。
12時過ぎには準備した800食を配り終えたが、その後も訪れる人がいたため、モチが入っていないことを断って提供した。同会では、環境に配慮して昨年からリユースの食器を使っており、自前のハシを持参する人もいた。
粥づくりに使った七草は、地元の農家から提供されたほか、同会会員が5日に古沢などでつんだもの。6日に5時間がかりで下準備をし、当日は午前9時前から麻生市民館調理室で調理した。もちを焼く炭は、早野聖地公園のボランティアが里山活動で作ったものを使うなど、自然や農業がいまも息づく同区ならではの催しだ。ただ、昨年までは親子体験農業で作ったもち米を作っていたが、体験農業が中止となったため、ことしはもちを業者から購入、素材がすべて麻生区産にならなかったと、会員たちは残念がっていた。
会場では、同会会員の書道家笠原秋水さんが大きな紙にウサギ年にちなんで「跳」、孫の笠原ゆず花さん(長沢小 6年)が「舞」と書く席書のパフォーマンスも行われ、正月の雰囲気を盛り上げていた。
広場に作られたステージでは、麻生文化協会の「童謡の会」の合唱や「片平お囃子連」の踊りや演奏なども披露された。
写真=粥を食べる大勢の市民」、七草の展示、書のパフォーマンス