「この指とまれ2010」を合い言葉に川崎市多摩区枡形の生田緑地で9月25日、多摩区民祭(多摩区民祭実行委員会主催)が催された。台風12号の影響で午前中は時折雨がぱらつき、10月中旬の肌寒さだったが、昼ごろからは天候が回復して汗ばむほどの陽気となり、人出もうなぎ登りに増えて昨年を上回るのべ約6万人(主催者発表)に達した。訪れた家族連れなどは、市民団体などの出店や展示、舞台での演奏や踊りなど多摩区最大の秋のイベントを楽しんでいた。
写真=カラフルなテントが並んだ枡形山広場の区民祭会場
ことしの区民祭は、昨年までメイン会場だった噴水広場が改修工事のため使えず、枡形山広場と噴水広場わきのヒマラヤスギの林付近の2カ所に変更された。また、日程も11月に横浜で開催される日本APEC首脳会議の影響で9月に前倒しされた。このため、出店やステージの参加団体は65に減り、パレードや区内3大学の出展・展示もなくなるなどかなり縮小された。
メイン会場の枡形山広場では、展望台の舞台で専修大学吹奏楽研究会のにぎやかなオープニング演奏を皮切りに開会式典が行われ、佐伯喜世志実行委員長が「きのうはどうなることか心配した。今回はふたつの会場に分かれて開かれ、例年とは趣が違うが、緑に囲まれた中で区民同士のふれあいを深めて」、来賓として出席した阿部孝夫市長が「多摩区民祭も生田緑地で開くようになって八回目を迎え、緑地で開くのが当たり前になった。台風も去ったようなので、きょう一日すばらしい天気の下で祭りを楽しんで」とあいさつした。
舞台では太鼓や合唱、沖縄民踊エイサー、フラダンス、テコンドーなど14の演目が披露された。多摩区観光大使の落語家桂米多朗師匠が「たがや」を熱演、客席からは大きな笑い声が上がっていた(写真右下)。子どもたちのチアダンスでは、付き添ってきたパパやママがわが子の晴れの舞台を収めようと一斉にビデオやデジカメの砲列を敷いていた。
広場には、市民団体や個人など39の出店が木々の間に並び、焼きそばなどの食べ物や手作り品、古本などを販売したほか、地雷処理や向ヶ丘遊園跡地の利用計画などについての展示などを行い、関心を集めていた。
噴水広場わきでは、行政関係の団体などが展示や物産販売などを行い、たくさんの人でにぎわった。多摩区と交流を行っている千倉町(千葉県房総市)が海産物、岡部町(静岡県藤枝市)がお茶、山形県長井市がリンゴなどの特産品を販売、人気を集めていた。会場には長井市の内谷重治市長も訪れ、「水と緑と花のまち長井へぜひ来てください」とPRしていた(写真左下)。
岡本太郎美術館の母の塔では、川崎フロンターレの試合の観戦チケットなどが当たる抽選会が行われた。混乱を避けるため例年より1時間半繰り上げて午前11時半から開始されたが、母の塔の前には数十人の長い列ができるなど、人気を集めていた。
緑地内にある日本民家園、青少年科学館は川崎市民に無料で、岡本太郎美術館は観覧料を100円に割り引いて公開、家族連れや若者などが文化の秋を静かに楽しんでいた。
例年人気を集めている民家園の骨とう市は正門から鈴木家住宅までの道に10店ほどが店開き、昔の陶器や刀、大工道具、着物などが並べられ、掘り出し物はないかと目をこらすお年寄りやアンティーク好きの若いカップルなどでにぎわっていた。