平和憲法を守って——「たま九条の会」(隈部直光代表)が数字の9にちなみ、9月9日午前9時9分に川崎市多摩区登戸の長念寺で平和への願い込めて会員らが9つの鐘を鳴らした。
写真=平和への願いを込めて鐘をつく会員
同会は、故井上ひさしさんや大江健三郎さんが提唱して2004年6月に発足した「九条の会」をきっかけに、自分たちの町でも九条を守る声を上げようと2006年に結成された。毎月9日を「九条の日」と決め、多摩川の河川敷などで黄色の衣服などを身につけ「九条を守る。戦争はしない。憲法前文の平和宣言はゆずれない」の意思表明をする行動のほか、学習会、講演会や音楽会などを開催している。平和の鐘は、北海道など他地区の九条の会が2009年9月に寺の鐘を鳴らしたことを知った会員からの提案で同会でも取り組もうと、区内の梵鐘のある寺を探して会員の元教師・田代浩一さんが教え子の保護者だった長念寺の小林泰善住職に依頼したところ快諾を得て実現した。
この日は、同会会員20人と宮前九条の会会員、千葉県から来た市民などが、午前9時9分9秒から9人の代表が交代して「再び子どもたちを戦場に送り出さない」「いのちの水の生田浄水場の緑と平和憲法を守ろう」「核兵器をなくそう」などと宣言して鐘を突いた。
その後、小林住職が「仏教の心は平和な社会に築くことと思い、8月6日と9日の原爆投下時刻に鐘をついています。過去帳を見ると檀家の88人の方が戦死していますが、戦争の犠牲で幼い子どもが栄養失調などで戦死者以上にいのちを亡くしています。戦争は勝った国も負けた国も普通の人が一番悲惨になるのは同じです。この梵鐘は先の戦争とつながりがあり、江戸時代に地元の人の力で作られた鐘は昭和17年に兵器を作るために供出され、今の鐘は昭和23年にやはり地元の人の協力で作られたものです。この寺は川崎区内の子どもたちが学童疎開していたこともあり、当時の方々がたずねてこられます」などと戦争と平和にまつわる講話を披露した。
宮崎さんらは「貴重な話が聴けてよかった。来年以降も鐘突きを続けていきたい」と話していた。
写真=(上から)会場までアピール活動する会員、平和の大切さを話す小林住職