多摩水道橋下流の多摩川狛江市側河川敷で8月20日、「狛江多摩川灯ろう流し」(多摩川灯ろう流し実行委員会主催、狛江市観光協会後援)が催され、訪れた約1,000人(主催者発表)の見物客たちは暗い川面を彩る約600基の灯ろうの光を見つめ、昔ながらの夏の風物詩を楽しんでいた。
会場の河川敷には午後5時過ぎから灯ろうの申し込みや見物に訪れる市民が来場。これまでも観客として外国人もいたが、ことしは会場受け付け初の外国人として川崎市中原区在住のアメリカ人ジャズマンが「叔父と知人のめい福を祈りたい」と灯ろうの申し込みをし、筆ペンで個人の名前を書いて主催者を驚かせた。
午後6時30分過ぎ、読経が流れ始めるのを合図に屋形船にいっぱいに積み込まれた灯ろうのろうそくに点火、小田急線の鉄橋下あたりから次々と川面に浮かべられた。灯ろうは上流の中州に向かって流れ、静かに水面を照らしながら光の帯をつくると、川岸に並んだ見物客たちは、光の模様の変化をうっとりと眺めていた。また、法要会場のテントには、焼香を待つ人が大勢並び、亡き人の面影をしのび、めい福を祈っていた。
狛江市仏教会によると、同市では文政8(1825)年に元和泉の泉龍寺の当時の住職が名主の協力で亡くなった人の功徳をしのぶ「川施餓鬼(かわせがき)法要」を復活させたという記録が残っている。昭和初めからは灯ろう流しが催され、その後何度かの中断期間はあったが、昭和40年代半ばから2003年までは花火大会と同時に催されていた。
花火が中止となった2004年からは、同市内の6寺と市民ボランティアとなどで実行委員会を作り、世界平和と環境保全を願い毎年催しており、ことしは市制40周年記念市民団体連携事業として実施された。