川崎がナビスコカップ準優勝 : 3度目の挑戦も悲願のタイトルに届かず

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ナビスコカップの決勝戦が11月3日、国立競技場で行われ、FC東京が川崎を2対0で下し、5年ぶり2度目の優勝を果たした。3度目の挑戦で悲願の初タイトルをめざす川崎Fは、リーグ1の得点力を誇る攻撃が封じられて敗退、表彰式でも肩を落とす選手がいるほどの落胆ぶりだった。

写真=肩を落として表彰式から戻る川崎イレブン(撮影 : 山本真人)

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決勝戦の大舞台は、ことし3回目の川を挟む隣同士の戦い「多摩川クラシコ」。
2000年、2007年に続き3度目の決勝進出の川崎Fは、現在リーグ戦1位、ことしのリーグ戦をいずれも逆転で勝利、戦線離脱していた負傷者が復帰す091103nabisuco09
るなど明るい材料がそろい2年前の雪辱に燃える。一方、20004年の優勝以来2度目の決勝進出の東京は、得点源選手の負傷や移籍など不安材料を多く抱えていたが、「同じ相手に3度負けるわけにはいかない」「出られない選手のためにもがんばる」と団結力を強調し、モチベーションが高い。
チケット発売後わずかの間に完売となっただけに競技場には、両チームのレプリカユニフォームやグッズを身につけた多くのサポーターが左右のスタンドに分かれて観戦、44,308人の観客が集まった。選手入場時には、川崎側のスタンドはチームカラーに青、黒の中央に金色の星を人文字で作り応援(写真左上)、東京側は赤と青の風船(写真右上)で迎えた。
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試合は、立ち上がりから川崎Fが積極的に相手ゴールを前でチャンスを作りリズムををつかみ、タイミングやコースの精度、相手GKなどに阻まれゴールネットをゆらすことができない。そんななか、先制点を揚げたのは東京のニューヒーロー賞に選ばれたMF米本拓司。22分にFW平山相太のパスを受け「シュートで終わらせたい」と放ったミドルシュートが川崎Fの守護神川島永嗣をかすめ1点先攻。この得点で試合の流れが速くなり互いに攻防を繰り返すが、守備陣が踏ん張り前半を東京リードで折り返す。
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後半、立ち上がりに東京が川崎ゴールを襲うがGK川島が落ち着いてセーブ。リズムを取り戻した川崎は協力FW仁を中心に攻撃するが、相手GKも好セーブでしのぐが、東京ゴール前で競り合ったボールを自陣に運ばれ59分に東京FW平山相太に追加ゴールを許すと、川崎サポーター席は一瞬静まり返った。初タイトルのかかる川崎Fは猛反撃、
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フリーキックのチャンスを受けるが相手の高い守備でフィニッシュが決まらず、フレッシュな選手を投入して攻撃のパターンを変えたが、東京の集中力の高い全員守備と落ち着いた対応にかわされゴールを奪えずタイムアップ。
川崎は東京の10本に対し17本のシュートを打ったが、前回、前々回の決勝戦と同様にゴールを1本も奪えず、準優勝となって初タイトルの夢が破れた。
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試合のMVPは、先制点を揚げた米本拓司選手で、得点だけでなく守備での貢献が高く評価され、ニューヒーローに続き2冠に輝いた。5年ぶりに表彰台に昇ったFC東京は、キャプテンの羽生091103nabisuco04
直剛がチームの台所事情でシーズン途中にカタールに移籍した主砲カボレのユニフォーム(上着のみ)を着用、キャプテンマークも今季限091103nabisuco03_2
りで退団するチーム生え抜きのDF藤山竜仁の腕に巻くなどチーム一丸となって勝ち取った喜びを表し、ピッチで監督を胴上げした。
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喜びを爆発させる東京Fの選手やスタッフに対し、準優勝に終わった川崎Fは関塚監督、選手とも沈痛な表情で、なかにはピッチに座り込む選手もいるほど。ブルーのテープを用意し共に喜ぶ予定だった川崎側の観客は、目頭を押さえるサポーターもいたが、あいさつに来た選手・スタッフにあたたかな拍手を贈っていた。

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