川崎市麻生区古沢の農地で9月26日の夕べ、「キャンドルナイトinn田んぼでコンサート」が催された。参加した親子連れなど約150人が、稲穂の前に作られたかかしやススキと野の花などで飾った舞台で繰り広げられるバイオリンとギターなどの演奏を楽しんだ。
写真(上から)=キャンドルの火の中で催されたコンサート、稲穂が実るコンサート会場、舞台両脇でキャンドルに点灯、あいさつする山崎会長
会場となったのは、麻生区が市民協働事業として行っている「親子体験農業」の田んぼ脇の農地。コンサートは、14年続いた「親子体験農業」がことしで最後となるため、麻生区子ども会連合会、同区青少年指導員会、同区体育指導委員会などで結成する「親子体験農業実行委員会」が区内の音楽家の協力で、楽しい思い出作りをしようと催された。
会場は、麻生区の職員と実行委員が1リットル入りのペットボトル120本と竹を切り取って作ったキャンドル立て、かかし祭りに出されたドラえもんやなまはげなど7体のかかしが並べられ、仮設舞台と客席を準備。
午後4時30分からのコンサートは、なじみの曲を参加者が歌う「みんなで歌おう」とプロの演奏を楽しむ2本立てで構成。まず、あさお芸術のまちコンサート実行委員長の丸山博子さんが同僚の小学校音楽教諭・石坂奈美さんのキーボード演奏で「手のひらに太陽を」「赤とんぼ」などの馴染みの曲を歌唱指導、マイクを向けて会場の歌声を拾った。
夕闇が広がり始めた午後5時前にはキャンドル点灯式を行い、150本のろうそくがともされると会場からは一斉に歓声と拍手がわいた。続いて若手のプロ音楽家の団体「フレッシュアンサンブルかわさき」のバイオリニスト鈴木智子さん、同区で万福寺ギター教室を主宰するギタリスト江間常夫さんが、エルガーの「愛の挨拶」スペイン民謡「愛のロマンス(禁じられた遊び)」などのクラッシック曲や映画音楽が演奏されると、家路に急ぐ通行人も足を止めて聴きほれていた。
山崎優体験農業実行委員長は「体験農業は、これが最後になりますが、この田んぼは残ります。みなさん、この風景を大切な思い出にしたふるさとを愛する気持ちを育ててください」あいさつして約1時間30分のコンサートを終えた。
参加者は「野外でバイオリンを聴くのは初めてだったが、いい音で気持ちよかった」「ろうそくの火が雰囲気を盛り上げた」などと笑顔で話していた。演奏者の鈴木智子さんは「子どものころ夏休みにかかしを作ったことを思い出しながら、演奏しました。野外でバイオリンを演奏することはめったにないのでどんな響きになったか少し気になりますが、のどかな風景になじむ手作りの舞台で気持ちよかった」と話した。