川崎市麻生区髙石に体験型農園が開園 : 農家の指導で季節野菜約20種類を栽培

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川崎市内の農家が野菜づくりを指導する体験型農園「石塚農園」が同市麻生区髙石1丁目に開園、3月10日に開園式が行われ、参加者がジャガイモの植え付けを行った。

写真(上から)=ジャガイモの植え方を指導する石塚さん(中央)、参加者が耕耘機を運転、タネイモ作り、柵切り体験

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体験型農園は、市民が農業を体験できる場の提供と都市農業への理解と農業経営の安定をめざし、2003年に川崎市経済労働局農業振興センターが初めて企画。同年に同区黒川東営農団地に第1園が開校、50数家族が10カ月間にわたり10数種類の作物を作り好評を博した。その後、麻生区、宮前区、高津区、中原区に次々と新農園が開園。毎年1月ごろに市が参加者を募集しているが、既成農園は継続する家族が多く、わずかな追加募集枠に数倍の市民が応募するケースもあり、人気を呼んでいる事業だ。
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今回の「石塚農園」は7園目。住宅地の中に一画だけ残る石塚良一さん(79)の農地約1800平方メートルを利用し、ウネ造り、種まき、肥料、病害虫防除など一連の作業を石塚さんから指導を受け、2010年2月までに約20種類の季節の野菜を共同で作る。
開園式には19人が参加、古澤重夫農業振興センター所長などが出席して同園の趣旨や日程などを話し、石塚さんが「住宅地の中の農環境を維持するため、みんなで楽しみながら作業してください」とあいさつ。まず、石塚さんと農業機械を販売する(株)相武機械の社員からミニ耕耘機の使い方の指導を受け、最初に南傾斜の畑に雨水を流す溝をつくった。その後、交替でクワを使ってサク切りを体験、半分に切り灰をまぶした種ジャガイモ20キロを植えつけた。初めて農業体験でクワがうまく使えず、石塚さんや振興センターの職員に何度もコツを聞く人もいた。今後は毎週火週の午前中に野菜の植え付けや草むしりなどの作業を行う。
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同園は、作業日がウイークデーのため参加者はリタイヤ後の中高年の男性のほか、食べ物の安全性に関心を持つ若い主婦もおり、なかにはこれまで市民農園で家庭菜園を経験した人もいて「農家から直接作業を教えるのが役立ちそう」と満足げ。
園主の石塚さんは「代々農家で、南傾斜のこの土地は昔はクワ畑で養蚕をやめてから柿畑にした。私が体調を崩し家族だけで耕作するのは大変なため、農地を守ろうと川崎市の体験型農園にしました。体に染みついている農作業ですが、人に教えるのは案外難しいものですね」とにこやかに話していた。