毎年秋に開催する市民手づくりの映画祭「KAWASAKIしんゆり映画祭」(NPO法人KAWASAKIアーツ主催)が、川崎市麻生区の川崎市アートセンターなどで10月12日から11月3日まで約3週間にわたり、41本の映画を上映、ゲストを招いてトークショーやミニコンサートなど関連イベントを催す。
写真=(右上)「石内尋常高等小学校 花は散れども」の教師役の柄本明さん〈(C) 2008「石内尋常高等小学校 花は散れども」製作委員会〉、(左中)オーストラリア映画特集の「Broken Sun」〈(C) 2008 JACKAFILMS〉
14回目のことしは、開館1周年を迎える川崎市アートセンターをメイン会場にするため、例年より会期が長く、ラインナップされた多くの作品を複数回上映するのが最大の特色だ。
今回は、現役最高齢の映画監督・新藤兼人監督(96)の作品を特集。映画祭のオープニングとしての12日午前10時30分からワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘で新藤監督の最新作「石内尋常高等小学校 花は散れども」を上映、監督自身と主役の柄本明さんがゲストとしてトークショーに出演する。この作品は13日からは11月3日までアートセンターで毎日上映する。このほか1951年に初めて監督として制作した「愛妻物語」、1961年にモスクワ国際映画祭グランプリを受賞した「裸の島」、1995年にモスクワ映画際ロシア映画罷業課審査委員賞を受賞した「午後の遺言状」と監督自選作品として1964年の「鬼婆」をそれぞれ3回ずつ上映する。
もうひとつの特集は、ことし映画祭代表に就任した日本映画学校副校長の千葉茂樹監督が注目するオーストラリア映画。ドラマ3本の上映、26日午後1時から「豪日学生映画フォーラム」を初めて日本で催し、両国の学生が作った8本の映画を上映。同日夕方からは教育現場での映画の取り組みに焦点を当てたシネリテラシーのシンポジウムを開く。関連イベントとして25・26日には、アートセンター前広場で青空市場&オーストラリア物産展を開く。
初日には、2008年ベルリン国際映画祭国際芸術映画評論連盟と最優秀アジア映画賞のダブル受賞した若松孝二監督「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」と在日中国人の李纓監督「靖国 YASUKUNI」を上映(写真右)、硬派の作品で日本がたどってきた時代を見つめる。
映画祭では、このほか「New Wave Japan」「映画から見えてくるアジア」「国境を越えて活躍する女性たち」などのテーマで日本やアジアの若手監督らの話題作や近作を取り上げたほか、川崎在住の監督作品も2本上映する。ひとつは、交通事故で息子を亡くした母親が刑法改正に向かう実話を基に製作した塩谷俊監督「0(ゼロ)からの風」、もう一本は、宮前区土橋で見かけた護符を元にオオカミ信仰の盛んな秩父へと旅する由井英監督のドキュメンタリー「オオカミの護符」。
また、エンターティメントとしての映画を楽しんでもらおうと、期間中、特別企画として弁士付きの無声映画の上映会や「ハロウィン・ナイト」と銘打ちオールナイト上映も行われる。
例年行っているバリアフリー対応は、「石内尋常高等小学校」を10月30日・11月1・3日に副音声・日本語字幕付きで上映、イヤホーンガイドが必要な人は10月20日までに同祭事務局まで申し込む。
映画とともにしんゆりの街で楽しんでと、ことしも会場周辺の20店舗が「映画祭フェア」に参加、機関中クーポン持参の客に飲み物サービスや商品の割り引きを行う。
映画祭の前売りチケットは、10月11日までアートセンターで扱っている。
映画の上映日程など詳細と問い合わせは電話044(953)7652映画祭事務局、またはホームページ(こちら>)。