川崎市多摩区で5月26日、区内の豊富な自然と名所・旧跡、文化施設を観光資源としてまちづくりに積極的に生かそうと観光協会や町会、商店街連合会、鉄道事業者、観光施設、文化協会など35団体が参加して「多摩区観光推進協議会」が発足した。同会では、市内はもとより東京、横浜など周辺の自治体に多摩区の魅力を積極的に宣伝し、観光客を集め賑わいとうるおいのあるまちづくりをめざす。こうした会ができたのは多摩区が初めてで、他地区の観光協会などの注目を集めている。
写真は推進協議会会長に就任した原島弘さん
同区には川崎市立日本民家園、岡本太郎美術館、青少年科学館、フルーツパーク、生田緑地、生田緑地内ばら苑など多くの文化・観光施設や豊かな自然、根岸古墳、長者穴古墳群、鎌倉幕府と関わりが深い枡形城址、小沢城址といった歴史的な文化財など観光資源が豊富な地域だ。なかには独自のPR活動を行っている施設もあるが、区として観光資源全体を市内外に宣伝する機会は少なかった。
こうしたことから稲田堤観光協会、稲田多摩川観光協会、多摩区商店街連合会、多摩区文化協会、多摩区町会連合会、セレサ川崎農業協同組合の6団体の役員17人が発起人(発起人代表、樋山智也・稲田堤観光協会会長)となり、協議会の設立に向け1月から準備を進めてきた。
多摩区では、魅力あるまちづくりを進めるために観光事業を力を入れる方針で700万円の予算を計上しており、4月に観光振興・タウンセールス担当のセクションを設置。観光振興を区民との協働推進事業位置づけ、協議会に委託する。
多摩区役所6階会議室で開かれた設立総会には、準備会に関わった各団体のほか鉄道会社、各観光スポット、メディア関係者と事務局の多摩区役所職員など60人が出席。冒頭、鈴木基允区長が「地域の活性化のために観光事業を取り上げるところが増えてきた。多摩区が誕生して35年目の節目に当たる年に、地域の組織が中心となって観光推進協議会ができるのはとても喜ばしいことで、積極的に観光事業に取り組んでいきたい」とあいさつ。来賓の斎藤文夫・川崎市観光協会会長が「多摩区には世界に誇れる日本民家園などもあり、区内の多くの団体が参加して協議会が発足するのは心強いこと。多摩区だけでなく広域的な協議会となるよう期待している。わがまちの良さをPRして郷土愛を育ててもらいたい」と激励した。
総会では、協議会の会長に原島弘・稲田多摩川観光協会会長などを選出。「川崎の四季の彩りと歴史を伝えるまち」をキャッチフレーズに、今年度の事業として(1)観光キャンペーン=8月から10月の行楽シーズンに川崎市南部や近隣の都市に出向いてPRを行う(2)ご当地名物・観光スポットPR=メディアを通じ「見る・買う・食べる」を切り口に豊かな自然や観光スポットなどを宣伝(3)観光ガイダンス・ホームページ=デジタル・オーディア・プレイヤーで観光スポット情報を市内外に発信するシステム整備(4)調査研究=脇(わき)街道、地産品を食材にした料理・菓子のレシピ作りなど6つの事業と予算を決めた。
その後、協議会の指針となる「”緑とせせらぎの多摩区”の良さを市の内外に発信し、主体性をもって集客に結びつく地域の観光を振興し賑わいと魅力あるまちづくりに努める」などの内容の『多摩区観光のまちづくり』宣言を採択した。
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