水のシーズンを前に5月27日、水防訓練が狛江市、狛江消防署、狛江市消防団が同市猪方4丁目先の多摩川河川敷で約450人が参加して行われ、強い日差しが照りつけるなか、参加者たちは真剣な表情で土のう積みなどに汗を流していた。
写真は土のう積みに汗を流す災害時支援ボランティアの主婦
同市では、訓練会場近くで1974年に多摩川水害が起きたほか、2005月にも台風によって市内で70件が浸水するなどの被害で出ている。こうした教訓を生かし、昨年から市民も参加して、まちぐるみで水害へ備える取り組みが行われている。
午前9時からの訓練には、狛江消防署、市職員、狛江市消防団の合わせて260人余りに加え、同市建設業協会、狛江市防災会、女性防火の会、東京消防庁災害時支援ボランティア、市民など150人余りが参加した。
大型の台風が接近して大雨に見舞われ、多摩川の堤防が危険になったという想定で、ポンプ車など車両15台、救命ボート2艇を使い、「積土のう」「連結水のう」「鋼製月の輪」「T型マット」などの水防工法を実施した。積土のう工法の訓練には、消防署員や団員、市職員に災害時支援ボランティアも加わり、土のうに砂を詰めたり、砂を運ぶなどのサポート作業を行った。
地下室や住宅への浸水を防ぐ簡易工法は、市防災会、女性防火の会などの高齢者や主婦が中心になって行われた。身近にある買い物用のビニール袋やプランター、段ボール箱、レジャーシートなどを使って、水の侵入を防ぐというもので、参加した市民たちはビニール袋に水を入れて「水のう」をつくり、ボール箱に入れて積み上げる作業を、消防署員から指導を受けながら体験。「こんなありふれた物が役立つなんて」「実際にやってみて参考になった」などと話していた(写真左)。
水防訓練に続いて、多摩川では、急な増水で中州に人が取り残されたという想定で救助訓練が行われ、消防署と消防団の2そうのボートが川岸から白波をけたてて急行、宿河原ぜきから2人の「行楽客」を救出した(写真右)。
矢野裕市長は「水害は過去のものではなく、水の脅威へ備えた体制を確立することが求められている。訓練を見ながらその士気の高さや機敏な行動に心強さを感じた。いざ水害というときには、この訓練の経験を役立ててください。3月には多摩川と野川の浸水を想定した洪水ハザードマップを全戸配布したが、今後も災害に強いまちづくりを進めていきたい」と話していた。