セクハラ問題による高橋都彦前市長の辞職に伴う狛江市長選挙が7月15日に告示され、前副市長・松原俊雄氏(66)と前市議・田中智子氏(60)(届け出順)が立候補、無所属新人に一騎打ちがスタート、猛暑の下で21日まで舌戦をくり広げる。
松原氏は17時に狛江駅北口ロータリーで第一声を上げた。会場には自民党・明政クラブ、公明党と保守系無会派の狛江市議会議員のほか近隣自治体の市長や都議、自民・公明の国会議員と参議院議員が応援にかけつけた。
松原氏は「一緒にまちづくりをしてきた仲間(後輩職員)が、セクハラで傷ついたことは断じて許せず、市役所の混乱を解決できるのは(元職員の)私しかいない」とまずセクハラ問題への憤りを挙げ、今後は「ハラスメントをなくし、平和と人権を守るための先進的な条例を市民参加で作り上げたい」と話し、基本理念として「人に優しいまちづくり」を掲げた。さらに38年間の行政経験の中で多摩川水害、中越地震による新潟県川口町(現・長岡市川口地区)への支援など災害対応を行った実績を強調、副市長時代などにたずさわった参加と協働、情報公開をさらに進めると訴えた。
松原氏は東京都世田谷区生まれ。駒澤大学経済学部を卒業後、1974年に狛江市役所に入庁、環境、福祉保健部を経て市民協働課長、資格財政部長などを歴任、2008年〜2012年に矢野市長の下で副市長を務めた。2013年に長男ら家族と結婚相談会社を設立し代表取締役に就任。子どもは男子2人で現在は世田谷区桜丘に妻と2人暮らし。
田中氏は同じ場所で11時から第一声を上げた。会場には田中氏とともに高橋前市長のセクハラ問題を追求してきた共産党、社民党、狛江生活者ネットワークの市議に加え、1996年から4期市長を務めた矢野裕氏も応援にかけつけた。
田中氏は「セクハラ問題がどうして長引いたかしっかり検証して教訓化する必要がある。その上で再発防止策を進めハラスメント根絶宣言をし、市民に寄り添った相談体制を作り、強権的な手法ではなく、人権・暮らしを守る市政にする」と語り、「災害死者ゼロ・待機児ゼロ・孤独死ゼロ」の三ゼロを実現するため、水害に特化した訓練の実施や防災無線の貸し出し、子どもの権利条約の制定、高齢者の相談窓口の充実などを訴え、「ともに狛江」というスローガンを掲げ、市民力を生かした市政運営の実現を訴えた。
田中氏は山形県鮑海郡松山町(現・酒田市)市生まれ。國學院大学文学部を卒業後、1981年〜1997年に防災設備会社に勤務、1997年〜2001年に都議会議員、2001年〜2007年に日本共産党調布狛江府中地区委員会に勤務、2007年〜2018年7月に狛江市議会議員(3期)。2006年から狛江市西和泉に在住。子どもは女子3人で現在は夫と2人暮らし。