サッカーJ1の川崎フロンターレが、川崎市麻生区片平の麻生グラウンド内にクラブハウスを新設、2月1日に竣工式を催し、選手らに施設内部が公開された。新クラブハウスは、温度が機械で制御できる風呂や広々としたロッカールーム、風通しのいい場所に設置されたスパイクルーム、木の香りが漂うリラックスルームなどを備えており、選手らは「施設が立派でモチベーションが上がる」と笑顔で見て回っていた。
写真=グラウンド側から見たクラブハウス外観
新クラブハウスは、鉄骨作り地上2階建てで、建築面積は約11780平方m、延べ床面積は約2128平方m。外観は1階部分が黒、2階はグレーと白の落ち着いた色でL字型の建物となっている。これまでのクラブハウスはプレハブ1階建て828平方mだったので、延べ床面積だけでも2.5倍以上のスペースが確保された。
1階は、天井の高さが3.42平方メートルで筋力トレーニングなどを行うさまざまな機械が並ぶトレーニングルーム(写真左上)、クリニック、メディカルルーム、1人あたりのスペースがこれまでの2倍以上で各自にコンセントが2個付いたロッカー33個が並ぶ広々としたロッカールーム(写真右上)、ジェットバス付きの温水と冷水浴槽のほかシャワースペース8個、腰かけられるアイスバスも4槽ある。風呂は、冷水、温水、アイスバスとも温度を機械で変えられ、温・冷浴槽とも10人が入れる大きな浴槽を備えており銭湯並みの広さだ。また脱衣室には、汚れた練習着をカウンターからそのままランドリールームを備えた倉庫に出せる工夫(写真左中央)もされている。1人6足のスパイクが掛けられるスパイクルームは、グランウンドから直接入れるような設計になっており、コーヒーを飲みながらくつろげるフリースペースもある。玄関部分の広いエントランスホールの壁は、チームの歴史を示す42枚の写真を組み合わせたWALL GRAPHICSが施され、入り口部分にはメディア控え室も設置された。
2階は天井高3.5mの多目的室3室、グラウンドから階段を上って直接出入りできる練習試合の時に使うアウェイローカー、シャワー室のほか監督やコーチなどが使うスタッフルーム3室、90人収容のミーティングルーム、リラックスルーム、応接室を備えている。このほか、グラウンド側が全面ガラス張りとなった広々とした共用スペースもあり壁面にトロフィー棚が置かれイベントなどにも利用できる。リラックスルームは、2部練習などの時に仮眠できるよう畳敷きとなっており、壁の下部分は羽目板が施された落ち着いた雰囲気だ。羽目板は、毎年キャンプに訪れる宮崎県 綾町の木材を使用、綾町町長からは応接室、スタッフルームのローテーブルも寄贈された。
1、2階とも高低差のあるグラウンド面が見通せるようになっており、ケガなどで別メニューのトレーニングを行うときもモチベーションが維持できるように配慮されている。このほか、スパイクルームやロッカールームには脱臭効果や湿度を一定に保つ効果がある素材を使用するなど、全体的に快適な空間となっている。
建設にあたり、同クラブハウスのスタッフが柏レイソルや等々力陸上競技場、他のスポーツのクラブハウスなどを見学、選手からも意見を聴いて設計に反映させたという。
中村憲剛選手は「すごいの一言でうれしい。ロッカールームは、みんなの顔が見えるようにしてほしいと意見を出したが、これまでは隣の選手の肩が触れるくらい狭かったが両手が広げられるほどになった。テンションがあがりいいトレーニングができそう」と笑顔、大久保選手も「すごい立派。特に風呂が広いしジェットバスで驚いた。全体的にゆったりとしているのでモチベーションが高まりいい準備ができる」と話した。クラブ創立2年目の1998年に鹿島から移籍入団した鬼木達コーチは「入団当時は、稲城市の多摩川河川敷にあった練習グラウンドだったが、シャワーはなく更衣室も満足になかった。そのころから考えるとクラブの歴史と成長を感じます」と感慨がひとしおの表情だった。
また、藁科社長は「すばらしすぎてびっくりしました。環境に優しく配慮されどこのクラブより立派になったと思う。この施設に答えられるような結果を出さねばならない」と気を引き締めていた。