バックスタンドを新設工事中だった川崎市川崎区富士見の富士見球技場(旧川崎球場)がこのほど完成、3月26日に完成記念式典と内覧会が行われ、アメリカンフットボール日本一となった地元の富士通フロンティアーズの選手らによるデモンストレーションなどが披露された。
同球技場は、市内の施設としては初のネーミングライツを導入し「富士通スタジアム川崎」としてアメフトを中心とした施設として4月1日から利用される。
写真=完成した富士見球技場バックスタンド
同球技場はスタジアムを利用しながら総工費約18億4千万円をかけ、2013年4月〜2014年3月にメインスタンド、2013年10月〜2014年12月にバックスタンドをそれぞれ新設、2014年10月〜2015年3月にはフィールドの人工芝の張り替え工事を行い、2015年3月下旬に全面リニューアルされた。
スタンドは鉄筋コンクリート造り地上4階建てで、最後部の高さは17.1m。両スタンドの2、3階には、背なしタイプの観客席が合計3,060席、ドリンクホルダーと背付きタイプの観客席が40席あり、車いす席20席とゴール裏の芝生席約200席を合わせると収容人数は約4,000席となった。両スタンドとも、3階席の奥にはアメフトの試合でチームスタッフに戦況分析を伝える役割の人が詰める「スポッター室」を備えるなどアメフトに特化した施設となっている。4階にはガラス張りの来賓室、記者席を兼ねたガラス手すり付きの屋外テラス、関係者室(メインのみ)も設けた。スタンド下の1階には人工芝を張ったウォームアップスペースも設け、バックスタンド側には防医療機器などを備蓄する防災備蓄倉庫も備えた。
トイレの通路はアメフトのボールの絵が描かれており(写真右)、女性トイレはすべてウォシュレットで荷物棚を備えたパウダーコーナー(化粧室)も設置、このほか耳が不自由な人が試合を楽しめるよう床下のワイヤーを通して補聴器で場内放送を受信できる磁気ループエリアを設けたのが大きな特徴だ。
10,122.5平方メートルのフィールドは天然芝に近いロングパイル人工芝を張り、暑さ対策など利用者の負担が軽くなるよう温度抑制チップと珪砂が埋め込まれた。競技ラインはアメフトは白、サッカーは黄色と色分けして表示している。
施設運営は、指定管理者となった(株)川崎フロンターレと(株)東急コミュニティーが担当し、貸し出しを行う。
記念式典では、福田紀彦市長が「旧川崎球場は1952年に初めてプロ野球の公式戦が行われて以来大洋、ロッテが数々の勝負をしてきたが、ロッテの撤退後はアメフットで利用され、2007年にはアメフトのワールドカップも行われた。今回のリニューアルで市内初のネーミングライツ施設として新しい歴史を迎える。アメフトで2015年に日本1になった富士通フロンティアーズはこのスタジアムをホームとしており、川崎からアメフトがさらに広がっていく拠点になることを期待したい」と挨拶。来賓として参加した浅田豊久日本アメリカンフットボール協会理事長が「 2007年のワールドカップをここで開催する前に、地域の人も交えていろいろ話し合いをした時に、高齢者と女性が来場しやすい施設にしなければ大会は成功しないと指摘され、W杯前に施設を一部改修した。今回はその時に出された問題点をしっかり反映させた施設と生まれ変わった。川崎市がこれからもスポーツ生かした街づくりをされることを期待します」とエールの言葉をおくり、福田市長らとテープカットした。
その後、フロンティアーズの西村豪哲(#11)、田中彰人(#24)、金雄一(#30)、斎田哲也(#57)、古木亮(#59)の5選手が守備と攻撃に分かれてラン攻撃やゴールキックのデモンストレーション(写真右下)と川崎市立高校ダンス部のパフォーマンス(写真左下)が行なわれ、内覧会の招待客から盛んな拍手を受けていた。