川崎市麻生区役所で10月21日に「禅寺丸柿の日」記念イベント(麻生区役所、麻生観光協会、柿生禅寺丸柿保存会主催)が催される。一般社団法人日本記念日協会からの登録証の授与記念セレモニーのほか、禅寺丸音頭や同カキにちなんだ○×クイズなどが行われる。
禅寺丸柿は、同区王禅寺の山中で約800年前に発見された日本最古の甘柿。江戸時代から昭和30年代頃まで川崎市北部や多摩地区の農家で盛んに栽培・出荷され、貴重な現金収入となった。1909年には麻生区の農家から明治天皇に献上された記録も残っている。また「柿生」の地名のルーツになったとも伝えられる。しかし、次第に粒の大きな新しい品種に押されて出荷量が減り、昭和40年代後半になると市場で姿を見かけなくなるとともに都市化が進み、禅寺丸柿の存在が希薄になった。
区内の生産農家の中からこうした実情を憂う声が持ち上がり、次世代に禅寺丸柿の歴史的な価値を伝えようと1995年に柿生禅寺丸柿保存会が設立された。同会では、禅寺丸柿の木の実態調査を行うとともに、小中学校や区内の公共施設に植樹、区内の希望者に苗木をプレゼントするほか、JAセレサ川崎と連携しワインの製造販売などの活動を実施してきた。
同保存会の活動の成果として、2007年に王禅寺境内にある原木の子孫のほか6本の木が国登録記念物に指定された。また、2012年には麻生区の「区の木」にも指定された。
「禅寺丸柿の日」は、麻生区制30周年を迎えた2012年に記念イベントとして各地の柿生産者らを招いて開いた禅寺丸柿サミットで、10月21日を記念の日にする宣言が採択され、その後一般社団法人日本記念日協会に登録手続きが行われていた。
14時30分からの記念イベントは、禅寺丸柿を多くの市民に知ってもらい郷土愛や文化の醸成を図る目的で実施され、だれでも参加できる。
会場には、川崎市公認のご当地アイドル「川崎市純情小町」も参加、ミニライブが行われる。15時30分〜16時30分には「かわさき宙と緑の科学館」の移動天文車アストロカーによるミニ天文観察会が実施され、同科学館学芸員國司眞さんの指導で一番星「金星」と秋の青空を観察する。天文観察会は雨天中止。
問い合わせは電話044(965)5113麻生区役所地域振興課。