川崎市麻生区で万福寺ニンジンの品評会 : 同区特産の長いニンジンを審査


121223ninjin 03川崎市麻生区万福寺の麻生市民館で12月23日、半世紀前に同区特産のニンジンのできばえを審査する恒例の「万福寺鮮紅大長人参品評会&試食会」(万福寺人参友の会、里山フォーラムin麻生、麻生区生涯学習支援課主催)が催された。このニンジンはのゴボウのように長く、味が濃いのが特色で、10数年前に地元の人たちによって復活した。この日は家庭菜園愛好家など約50人が参加、ニンジンの出来映えを比べるとともに、万福寺ニンジンを使った料理を味わった。

写真=真剣な表情で比較する審査員


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並んだニンジンを見比べる審査員(左側)と出品者ら

13回目となる品評会には、農家や万福寺人参友の会会員、麻生区民のほか県立相原高校の生徒が作った18点が出品された。
審査にあたったのは、野菜生産者・長瀬和徳さん、麻生市民館長・猪瀬敦さん、万福寺人参友の会事務局・岡本剛介さん、里山フォーラムin麻生事務局長・石井よし子さんの4人で、1時間がかりで形、色、香り、味などについて真剣に比較審査した。その結果、最優秀賞には井上宏基さん(生産地・麻生区古沢)、味覚賞に岡本剛介さん(厚木市)、香り賞に高橋八重子さん(麻生区古沢)、姿 (ルックス)賞に金程小学校環境美化委員(5、6年生、金程小校庭)、色彩賞に高橋清行さん(同区古沢)、努力賞に林義昭さん(同区上麻生)が選ばれた。また、形状がユーモラスだった梶武男さん(同区岡上)と体験型農園のタイガーファーム(同区黒川)のニンジンにユニーク賞を贈った。

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学校での取り組みを紹介する高校生

審査の後、サークル活動として学校の畑で2010年から万福寺ニンジンを育てている県立相原高校食物科の神藤涼吾さんと江島拓臣さんがニンジンを育てる様子や料理、ジャムに加工する取り組みなどを画像を使って紹介、会場から「おとなよりも積極的」と高い評価を得ていた。
その後、出品者が提供したニンジンを使った料理を食べながら試食会と交流会が開かれた。
出されたメニューは、麻生区役所保健福祉センターで健康作りのための「麻生ヘルスメイト(食生活改善推進連絡協議会)」と「チームベジタ」のメンバー6人が作ったツナとニンジンの炊き込みご飯、ニンジンのみそバター風味など6点の料理と相原高校生の生徒が作ったニンジンジャム。

万福寺ニンジンは、長さ60〜80cmに生長し、中心まで朱色で、香りや味が強い。こうした特徴から「万福寺鮮紅大長人参」と商品登録名が付けられた。
このニンジンは、昭和初期に万福寺周辺で作られていた「滝野川人参(東京大長人参)」を戦後に品種改良し、より色鮮やかで長いニンジンを作り出した。全国農林産物品評会で5年連続1位を受賞し、優秀な農産物として同区の周辺で生産したニンジンは種子を取る元の「母本」となった。しかし、百合丘団地の造成が始まった昭和30年代後半から作付け面積が減り始めたことに加え、短いニンジンが消費の中心となり、ほとんど作られなくなっていた。しかし、万福寺ニンジン友の会などの活動をきっかけに同区の農家で作る人も出てきた。最優秀賞を受賞した井上宏基さんもそのひとりで、JAセレサ川崎の農産物直売所セレサモスで販売、好評だ。