狛江市長選:矢野裕狛江市長が引退、前市議の田辺良彦氏が後継で立候補表明

120517yanointai01任期満了に伴い、7月24日に投票が行われる狛江市長選挙に、現職で4期目の矢野裕氏(65)が出馬しない意向を5月17日の記者会見で表明した。また、会見の席上、共産党市議会議員で4期目の田辺良彦氏(47)が共産党の推薦を受け無所属で、矢野市長の後継として立候補することを明らかにした。

写真=5月17日、引退表明する矢野裕市長(右)と立候補表した田辺良彦氏


市議会応接室で午前中に開かれた記者会見は、矢野氏の支持団体「豊かな狛江をつくる市民の会」(略称・豊かの会)が催したもので、矢野氏と田辺氏、同会世話人共同代表の増田善信さん、前島郁夫さん、共産党市議などが出席した。
会見では、まず矢野氏が「16年前の立候補時に使命とした市役所体質の転換、清潔公正な政治の確立、暮らし優先の予算への転換ができ、総仕上げとした4期目の政策が93%達成でき満足感がある。次の選挙にあたり4年後まで気力・体力が続く自信がない。政策に区切りがつき、余力のあるうちに私の考えている政策をさらに発展してくれる人にバトンタッチして一市民として市政の発展をサポートしたい」と不出馬について説明した。また、田辺氏について「イデオロギーや国政での支持の違いを越えて、住み良い狛江の一点でまちづくりをする、という私がこだわってきた考えをしっかりと引き継いでくれる人」と後継者として推薦する意向を示した。
田辺氏は「矢野市長の16年間は、住民の命と暮らしを守るという地方自治体の役割を発揮するという点で、大きな変化と前進があった。その先頭に立ってきた矢野市長から、4月末に改めて『後継者にバトンタッチしたいというお話しがあり、その後、さまざまな方から私に対して出馬要請の話をいただき、熟慮して連休明けに決意しました。8日の『豊かの会』世話人会で正式に推薦をいただき、先程、議員辞職手続きをしました」と立候補の意向を固めた経緯などを説明した。
さらに「4期13年間、議会という場に身を置き、市長と一緒に多くの市民と話し合い、市政を前に進めるために力を尽くしてきた。その間に培った市民とのさまざまなネットワークがある。47歳で若さもエネルギーもある。矢野市長の市政の流れを受け継ぎながら、さらに発展させる。そういう多くの市民の願いに応えられるのは私だと考え、立候補することにした」と決意を述べた。
市政運営に取り組むにあたって(1)地方自治体本来の役割である、住民のいのちと暮らしを守る仕事を、引き続き市政の中心にすえて取り組んでいきたい(2)若い世代、子育て世代が希望を持てる市政を進めたい。私自身、小学校に通う7歳の娘がおり、自分自身が子育てに取り組むなかで感じてきたこともたくさんある。「このまちで子育てをしたい、住み続けたい」と思えるまちをめざす(3)「市民が主人公」の市政、参加と協働の取り組みをさらに大きく発展させたい。いろいろな考え方の違いはあっても、「狛江を良くしたい」という点で、話し合い、力を合わせて狛江の市政を前進させてきている。草の根の市民の願いが市政に届き、市民の願いが市民自身の力によって市政に生かされていくなどと話した。
そのうえで、矢野市政を継承する「新6つのビジョン」の基本政策として(1)東京一安全な都市−狛江(2)子どもの未来を育むまち(3)誰もが安心して暮らせる狛江(4)健康で住みよい環境の形成(5)市民が主人公の参加と協働のまちづくり(6)魅力と活気あるまちづくりを掲げ、具体的な施策を示した。

また、5月27日14時30分から小田急線狛江駅前のエコルマホールで「みんなでつくろう市民(ひと)輝く狛江 5.27市民のつどい」を開く。

田辺氏は旭川市生まれで、東京学芸大学教育学部を卒業後、日本共産党東京都委員会青年学生部副部長を経て1999年に狛江市議会議員に初当選、市議会社会常任委員会、予算特別委員会などの委員長、副議長などを歴任した。1998年から狛江市に在住、妻と娘の3人家族。

田辺氏の辞職に伴い、市議会(定数22)は1人欠員となり、市長選挙とともに市議会議員の補欠選挙が行われる。「豊かの会」では、補欠選挙に候補者を擁立する予定だが、まだ候補は決まっていない。

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