川崎市多摩区宿河原に二ヶ領用水の新旧紹介したパネル:表面に約300年前の「玉川絵図」

110626tamagawaezu01 川崎市多摩区宿河原の緑化センター近くにある二ヶ領用水の八幡下橋に、新旧2つの姿を紹介したパネルが完成、6月26日に阿部孝夫川崎市長らが参列して除幕式が行われた。パネルには、宿河原で20代以上続く旧家に保存されていた約300年前の「玉川絵図」と多摩川の上空から撮影した航空写真が印刷されており、用水の変遷を知ることができる。

写真=記念パネルの除幕式 


110626tamagawaezu03 このパネルは、川崎市北部から南部を流れる二ヶ領用水が、2011年3月に掘削開始400年を迎えたことを記念し、「多摩二ヶ領竣工400年プロジェクト実行委員会」(原島弘委員長)が制作したもの。
縦60cm、横90cm、高さ125cmで、金属板に、同区宿河原の元木茂さん(77)方にあった江戸時代の享保年間((1716〜1735)に描かれたと思われる「玉川絵図」と、最近撮影した航空写真を並べ、説明文が記されている。
絵図には、宿河原付近の多摩川と「かわさき用すい」と書かれた二ヶ領宿河原堀のほか、家や神社などが描かれている。川の中には普請場所と水の流れを変える「牛出」「籠出」など昔の工法名や「用水〆切」などの文字もあり、当時の川の様子を知る貴重な資料で、稲田郷土史会が図の解説を付けた。
パネルの制作には、同委員会のイベントに参加した神奈川県立向の丘工業高校が協力した。
市内では、二ヶ領竣工400年を記念して2010年春からことし春までさまざまな行事が行われた。
パネルは、5月4日に披露された二ヶ領用水竣工400年記念碑(関連記事はこちら>)のすぐ近くに設置された。多摩区のイベントを締めくくる最後の事業で、当初は3月に設置、披露する予定だったが、東日本大震災の影響で工事が延期となっていた。
110626tamagawaezu02 式典では、プロジェクト委員会や宿河原町会、二ヶ領宿河原線の美化・環境保全で活躍する関係者約40人が参列。阿部市長、二ヶ領用水竣工400年記念プロジェクト実行委員会の長島保代表、川崎市観光協会の斎藤文雄会長、絵の持ち主の元木さん、稲田郷土史会、宿河原町会役員など11人が一斉に綱を引いて除幕を行った。
阿部市長は「二ヶ領用水の取水が宿河原から始まったことを示す貴重な資料。川崎の遺産として世界遺産並みに大切にしたい」、式典の主催者で宿河原堀を愛する会の関山武男会長が「絵図が見つかったときから多くの人に知ってもらう記念碑的なものを作りたいと思っていた。地元として、このすばらしい景観と歴史を後世に残していきたい」、元木さんは「大切に保存してきた絵図を引っ張り出してご先祖がどのように思うか少し心配だが、私としてはこのような形で地域でいかされたことをうれしく思う」などと口をそろえて喜びを語っていた。

写真=記念パネル(左)、パネルを熱心に見る通行人ら(右)