川崎フロンターレが4月2日、等々力競技場で横浜FCと東日本大震災の被災者支援を兼ねたトレーニングマッチを開催、両チームのサポーターと被災地からの避難民など15,241人が観戦した。45分3本で戦ったトレーニングマッチは、川崎が4対2で勝利し、カテゴリーの差を見せた。
写真=試合前、揃いのTシャツで記念撮影
東日本大震災の被災者支援と復興のためのプロジェクト「Mind-1ニッポン」の一環として無料で行われた試合は、入場ゲートでフロンターレの元選手・佐原秀樹コーチ、高畠勉元監督、ユース選手、ボランティアらが義援金の協力を呼びかけた。また、福島第一原子力発電所の退避エリアなどからとどろきアリーナに避難している観戦希望者42人が招待された。
試合は、フロンターレからけが人を除いた選手26人とユース選手2人、横浜FCから22人が参加、全員が出場した。
1本目のフロンターレは開幕戦のスタメンと同じメンバーで、11分にMF中村憲剛選手がフリーキックでゴールを決めて先制、続く15分にはFW矢島卓郎選手がPKを決めて2対0と試合の主導権を握った。
2本目の途中で横浜FCのカズことFW三浦知良選手が出場すると、客席からはこの日一番の大きな拍手が起き、プレー中もボールにタッチすると川崎のサポーター席からも大きな「カズ・ゴール」がわき上がった。2本目の36分にMF山瀬功治選手が技ありのミドルシュートでゴールネットを揺らした。
3本目は、横浜が14分と38分にゴール、フロンターレは新入団のFW棗佑喜選手が31分にゴールを決めた。実戦経験を積ませるためユース選手も出場した。
試合後は、両チームの選手が「Mind-1ニッポン」と書かれたTシャツを来て「LOVE日本 今こそ心ひとつに」の横断幕を持ちスタジアムを1周。熱烈なサポーターが集まるゾーンでは三浦選手がメガフォンを持って「サッカーの力で強い日本を取り戻しましょう」と呼びかけると、サポーターは「カズ・ゴール」で応じていた。
この試合では義援金9,682,189円とグッズや飲食の売上の一部605,421円が集まり、後日、Jリーグを通じて日本赤十字に寄付される。
被災者にボランティア活動する川崎の選手
試合後、スタメン出場した選手らは、38世帯104人の避難生活者が滞在するとどろきアリーナに移動、夕食のちゃんこ鍋の配膳と被災者とのふれあいボランティア活動を行った。
会場には、試合の途中で買ったレプリカユニフォームを着ている被災者もいて、選手を感激させた。選手会長の井川祐輔選手が「フロンターレは暖かなファミリーです。きょうお会いしたみなさんもファミリーの一員と思っているので、これからも皆さんの力となれるように努力したい」と挨拶。中村選手は「初めはなんと声をかけたらいいか わからなかったが、『14番の人ですね』などと笑顔で声をかけられ、逆に元気をもらった。つらくて大変な生活が続くと思うが、これからもぼくたちでできることがあればやりたい」と支援を続ける意志を表明した。
高校サッカー部に所属し福島代表として国体参加などの経験を持つ金澤拓海さんは「Jリーグの生の試合を見る機会がめったにないので、楽しみに待っていました。試合は迫力があってよかった。特に中村選手のPKとスルーパスに興奮し、ファンになりました」と笑顔で話していた。
写真(上から)=義援金活動、川崎・矢島選手のPK、古巣に復帰して昨年のチーム相手に攻撃する久木野選手、フロンターレサポーターに挨拶する三浦選手、配膳サービスするフロンターレ選手、写真撮影に応じる稲本選手