川崎市麻生区の王禅寺境内に禅寺丸柿の原木前に石碑 : 国登録天然記念物の指定を記念

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郷土の誇りを永久に伝えようと、2007年7月に国の登録天然記念物に指定された川崎市麻生区の特産品・禅寺丸柿を記念する石碑がこのほど発祥の地として知られる同区王禅寺の王禅寺境内の禅寺丸柿原木前に完成、9月14日に関係者約40人が出席して記念式典が行われた。

写真=記念碑を除幕する関係者、記念碑、禅寺丸柿、式典の読経、除幕式、禅寺丸柿の原木とさまざまな碑

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石碑は、高さ98cm、幅70cm、奥行き9cmの稲井石(いないいし、宮城県石巻市稲井町産で仙台石とも呼ばれる)製。黒みがかった青い石の表面は「国登録記念物 禅寺丸柿 登録平成十九年七月二十六日」と刻まれている。裏面には、碑を制作した柿生禅寺丸柿保存会と柿生岡上100年会の名前も彫り込まれた。
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禅寺丸柿は1214年に同区王禅寺で発見された日本で最初の甘柿。麻生区や多摩区など昭和30年代まで盛んに栽培され市場に出荷され、1909(明治42)年には明治天皇に献上されたという記録も残っている。町村制施行時の1889(明治22)年に近隣10ヶ村で発足した「柿生村」は、柿の生産が盛んだったことからつけられたといわれている。
小ぶりで丸く種の多い禅寺丸柿は、次郎柿など大型の品種の出現で昭和40年台には市場から姿を消し、最大の生産地だった柿生地区でも宅地開発などで栽培地も減少、農家の庭先にわずかに残るだけとなった。
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地域の歴史を掘り起こし記録に残そうと柿生村100年にあたる1989年に代々この地の住む人たちで発足した柿生岡上百年会が中心となり、「地元の経済を支え農業発展の力となった禅寺丸柿の歴史的価値を見直し後世に伝えよう」と1995年に柿生禅寺丸柿保存会が結成された。保存会では、現存する禅寺丸柿の調査や新たな付加価値づくり、原090914kakikinenhi03
木の手入れ、地域の学校をはじめとして柿の移植や苗木の配布などの活動を行っている。翌年にはJAセレサ川崎の協力で禅師丸柿ワインの製造に成功、1997年から禅師丸柿ワインの販売も始めた。同会では、禅寺丸柿の歴史的価値をさらに高めようと活動を続け、090914kakikinenhi06_2
国に天然記念物として申請、原木と幹周1.5m以上で、樹高7m以上で木の勢いがよく所有者の同意の得られた6本が選定された。現在保存会の会員は161人で、柿生地区には約2200本の禅寺丸柿が植えられている。
記念式典には、保存会と柿生岡上100年の役員らが出席、王禅寺の森雄幸住職の読経のち、保存会の元会長森章さんら6人で碑の除幕を行った。