川崎市多摩区役所で「桃の里・宿河原展 」 : 往時をしのぶ写真やラベルなど展示

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約40年前まで高級ブランド産地として一斉を風靡し、昭和天皇にも献上したことのある川崎市多摩区宿河原の桃を、郷土のほこりとして再認識しようと、同区登戸の多摩区総合庁舎1階アトリウムで「桃の里・宿河原展」が3月31日まで開催されている。

同展は、地域の課題を解決するために多摩区が市民提案された事業の中から協働で実施する「磨けば光る多摩事業」の2008年度認定事業のひとつ。二ヶ領用水宿河原線の桜並木などを保全活動を行う元果樹農家などで構成する「宿河原堤桜保存会」が提案、多摩区と共催で23日から展示している。
会場には、いまもモモを生産している関山武治さん(88)が提供した昭和20年代後半から30年代にかけての第2次最盛期のころの袋かけ、箱づめ作業、集荷場や戦前と戦後のラベルの写真のほか、モモの解説、新聞記事などを展示している。このほか、宿河原のシンボルの二ヶ領用水宿河原線に関する写真や絵図なども展示している。
宿河原のモモは、大正初期にはじまり昭和40年代ごろまでの約半世紀にわたり、多摩川梨と共に盛んに栽培された。産地の価値を高めるため1915年に生産組合を結成、統一したラベルを制作、1938年には「多摩川桃」のブランド名をつけた。中元などの贈答品として好評を呼び、銀座や新宿の高級果物店でも取り扱われほどの人気だった。多摩川と二ヶ領用水宿河原堀の間を中心に最盛期には約100ヘクタールにも達する畑があり、百数十件の農家で栽培、ピーク時の1941年7月のお盆前には1箱10個入りの木箱4万箱を出荷した記録もある一大産地だった。
同展は、4月5日に行われる宿河原の桜まつりの会場でも展示される予定だ。