Jリーグ最終節の試合が12月6日に開かれ、上位2チームの結果次第で逆転優勝の可能性を残している川崎は、アウェーの味の素スタジアムで前節16位の東京ヴェルディを2対0で降した。首位の鹿島アントラーズがコンサドーレ札幌に勝利したため今シーズンの目標にしていた優勝には届かなかったが、前節2位の名古屋グランパスが引き分けたため、順位を1つ上げて2位になり、来年のACL(アジアチャンピオンリーグ)の出場権を得て今シーズンの戦いを終えた。
一方負けたヴェルディは、下位のジェフ千葉が勝ったため入れ替わって17位に後退、ことしの昇格を守りきれずJ2へ自動降格となった。
写真=試合終了後、降格が決まり気落ちするヴェルディの選手たち
スタジアムは、川崎Fの奇跡の逆転優勝を信じて大勢のサポーターがかけつけ、前売りの7000人に当日券も加えて約1万人に膨れ上がった。残留がかかったヴェルディは、緑のユニフォームのサポーターがホーム側を埋め、合わせて24,000人を超える観客が試合前から熱心な応援を繰り広げた。
試合は、前半26分にヴェルディのMF福西福西崇史の体を張った守備が乱暴行為と見なされ一発退場となったことが試合を左右。このチャンスで得た川崎のFWジュニーニョがPKを外し、後のないヴェルディの必死の守備とカウンター狙いで一時は互角の戦いとなり前半は0対0で終えたが、川崎が徐々に数的優位を生かし、ヴェルディゴールを脅かし、64分にFWレナチーニョが先制(写真)、終了間際の89分にもMF中村憲剛がゴールを決めて勝利した。
試合後、ヴェルディの選手は千葉の勝利で降格決定を知り、悲痛な表情でしばらくピッチで動けない選手もいたが、スタッフ一同ととともにサポーター前に集まり、深々と頭を下げた。柱谷哲二監督は「残念な結果となり、申し訳ない気持ちでいっぱいです。(フッキが戻ってきて)最初は良かったけど、(退団で)途中から方向が変わってしまったが、選手は最後までよくやってくれました」と声をつまらせながら挨拶した。観客席には、親会社の業績不振による運営費の縮小などで福西選手をはじめ服部年宏、土肥洋一などベテラン選手など11人もの大量退団に抗議する横断幕が掲げられ、経営陣との話し合いを求めて一部のサポーターがスタジアムに居座るなど後味の悪い最終戦となった。
一方、今シーズン限りで10年間在籍したチームを去る我那覇和樹選手は、サポーター席に掲げられた自身の名前のフラッグの前を確かめるように見つめてから手を掲げて別れを惜しみ「の一員として最後の試合で大勢のサポーターの前でプレーできて幸せだった。(自身が)得点出来ず、優勝できなかったことは残念だが、勝って終われて良かった。高校を卒業して右も左もわからないころからお世話になり、川崎というクラブに成長させてもらった。どんなときもサポーターの後押しがあったことが、すごく心強く、感謝しています。来シーズンもチーム一丸となって頑張ってほしいし、僕自身は今後どうなるかはわからないが、と同じピッチに立って戦えるように頑張っていきたい。10年間ありがとうございました」とコメントした。