川崎市麻生区役所広場で1月7日午前11時から、麻生区文化協会(会長、京利幸さん)主催、麻生区役所共催による“あさお古風七草粥(かゆ)の会”が開かれ、約500人が地元産の材料で作った伝統の味を楽しんだ。
麻生区役所での開催は5回目で、同文化協会が会員の新年会として催していた細山郷土資料館での開催からの通算では22回となる。主催者の京会長は「地域における食の伝統文化を伝承するとともに、正月にふさわしい伝統芸能を地域の人たちに楽しんでもらいたい。昨年は参加者から100円をいただいたが、今回は市の助成金をいただき無料にできた」と話していた。
麻生文化協会は団体会員が45団体、個人会員が100人あまりとのこと。多くの個人会員が、草摘みや下ごしらえ含め3日かがりの七草粥の会に参加したという。
会場では、時間前から行列ができ、広場に並べられたテーブルの周りの椅子も粥を楽しむ人たちで瞬く間にいっぱいとなった。車椅子の男性に付き添っていた女性は「18歳になる孫に車椅子を押してもらい、来ることができました。久しぶりに主人と一緒に外出し、こんな楽しい催しに参加できてうれしい。」と語ってくれた。また、3人連れの女性たちは「今日はお粥に餅(もち)が入っていて、かつおぶしもかかっている。これまでの内で一番おいしかった。それに、無料なのも良い。確か去年は100円だったのよね。」と中年女性の評価は見落としがない。
乳児を抱いた若いお母さんは、「たまたま区役所に来たら、お粥が味わえてラッキーでした。」と話していたが、ほとんどの人たちは毎年来ており、地域の人たちの新年の楽しみになっているようだ。
いつの間にか、笛や太鼓の音が鳴り響き、年の初めの雰囲気を盛り上げる。お囃子は“高石お囃子保存会”の皆さんで、獅子舞やヒョットコも登場した。獅子舞は会場の各テーブルを回って愛嬌(あいきょう)を振りまいていた。会場には幼児づれの親子、中高年の女性が多く、男性の姿はちらほら。市内小学校は8日からスタートとなるとためか、子どもたちの姿も目立ち、羽根突きや剣玉に興じていた。
続いて麻生童謡を歌う会(会長、菅原敬子さん)の約20人による正月のわらべ歌が「七草 なずな 唐土の鳥が 日本の国にわたらぬさきに……」で始まった。そろいのハッピも華やかに「もういくつねると お正月……」「年の初めの ためしとて……」と続き、参加者も一緒に声を合わせ歌っていた。
この日の午前中は寒かったが、会場には次々と人が訪れ終了の午後1時を待たずに用意した450食は全て無くなった。京会長は「今回はウイークデーとしたが、日曜日の昨年以上の参加者があり、ほっとしました」と話していた。
麻生文化協会会員14人が黒川で七草摘み
この会の2日前、5日には、麻生区黒川で麻生区文化協会の人たちによる七草摘みが行われた。14人が汁守神社の境内に集合し、同会会員の地元農家・吉澤伊三夫さんの案内で田の畦(あぜ)を回った。「何回来ても覚えられない」と図鑑を持参の男性や、足回りがしっかりした長靴の人、防寒コートに身を包んだ女性など、男女半々くらい。
脇の道に分け入ると、細い流れに沿って「ここにセリがあるよ」の声。オギョウ、別名ハハコグサは、なかなか見つからず貴重品のようであった。
収穫が少なく心配したが、吉澤さん宅の奥の方でセリやハコベなどがハウス栽培されていた。吉澤さんは、親子三代にわたり黒川で農業を続け、俳句にも親しんてきたという。
最後に汁守神社境内で、七草に詳しい馬場身江子さんが採集した野草を仕分け。見分けるのが難しかったオギョウとホトケノザの偽物がどさっと取り除かれ、準備の第一段階は終了した。
このような人たちの支えがあっての“古風七草”なのだろう。
七草かゆ 簡単レシピあったよ
川崎市麻生区役所広場で地元産の材料で七草かゆ:麻生区文化協会と区役所が伝統の味を…