猛暑の中で子どもたちが描いた長さ約120m、高さ3mの大壁画が川崎市宮前区菅生の浄水場通り西側の道路沿いに出来上がり、9月8日に製作した小学生など約200人が参列して完成式が行われた。コンクリートの壁には、「夢と生物」をテーマに鳥や魚、花などが個性あふれるタッチで色鮮やかに描かれており、ドライバーや道行く人にうるおいを与えそうだ。
写真=完成した大壁画
この場所には、市制70周年を記念して1994年に描かれた壁画があったが、時間の経過とともにペンキがはがれるなど傷みがめだつようになった。このため、宮前区子ども会連合会(吉井勇会長)が「修復が難しい」と判断、区と協議したうえで区の誕生25周年を記念した事業として新たに描き直すことにした。
以前の壁画は区画を分けていたが、今回は、菅生中学校の金井則夫校長の指導にそって絵が一体化するように配慮、海と多摩川と空をイメージした青色の濃淡で背景を描き、そこにシャボン玉が浮かんでいるような51個の大小の円を描いて、そこに子どもたちが「夢と生物」というテーマに沿って思い思いの絵を描いた。
壁画には、同区内の32の子ども会のうち21団体が参加、8月1日から20日にかけて交代でそれぞれの担当区画の製作に取り組んだ。連日の記録的な猛暑に加え、現場は日陰もなく、車がひっきりなしに通るといった悪条件にもめげず、豆画伯たちは高い足場にのぼり、流れる汗をものともせずペンキで製作に取り組み、付き添ってきたおとなたちを驚かせたという。
夏を思わせる強い日差しの中、壁画の反対側のうどん店駐車場で催された完成式(写真左下)では、見事に出来上がった壁画を見て参加者たちは満足げ。「これからは壁画通りと呼びましょう」という声も出た。製作にあたった子どもたちは「難しかったけど良い思い出になった」「前の壁画を見てすごいなと思っていたのに、自分が描くことになって緊張した」などと感想を述べ、大下勝巳区長は「みなさんのお陰ですばらしい絵が完成した。あんまりすばらしくて、ドライバーが見とれて事故が起きないか心配なくらいです」とユーモアをまじえてあいさつ、吉井会長は「多くの人や企業の力添えで完成してうれしい。子どもたちだけでなく、親にも喜んでもらえ、また子ども会同士の交流もできた」と完成を喜んでいた。
同区内ではこのほかにも、通り魔事件が発生したJR梶ヶ谷貨物ターミナル駅下トンネルには野川中学校の生徒が製作した「みやまえ水族館」、東名高速道路高
架下トンネルでは犬蔵中学校美術部が描いた「日本の四季」と題した壁画が夏休み中に相次いで完成、さらに梶ヶ谷第三架道橋
にも宮崎中学校の生徒が冬に製作する予定で、街角を明るくするギャラリーが人気を集めそうだ。
壁画全体画像
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