水害のシーズンを前に5月15日、狛江市猪方4丁目2番地先の多摩川河川敷内の多摩川緑地公園で大がかりな水防訓練が行われた。
写真=川に取り残された人をボートとはしご車で救出
訓練は、台風の接近に伴い梅雨前線が刺激されて「大雨警報」が発令され、多摩川の水位が上昇、堤防から水があふれる可能性があり、中州に人が取り残されたという想定で、多摩川左岸の13自治体を管轄する第八方面のメイン会場として狛江消防署と合同で実施された。
大型ヘリコプター、ハシゴ車、ポンプ車など車両27台、救命ボート5艇を使い、狛江消防署のほか第八方面の各消防署員、狛江市職員、狛江消防団のほか、狛江市建設業協会、狛江市防災会、女性防火の会、東京消防庁災害時支援ボランティアの団体など合わせて516人が参加してた。
会場ではまず、瀬川俊第八方面本部長、矢野裕狛江市長らが大型ヘリコプターに乗って被害状況を把握、本部長が上空から指揮を行った。狛江消防署員が水の勢いで流されないよう重さ約1.5トンの大きな土のうをクレーンで動かす「大型積み土のう」を行ったのをはじめ、各署員が砂や水、鋼板などを使って「積み土のう」「連結水のう」「簡易水防工法」など5種の浸水防止工法と、ビニールシートについている細長い袋に土のうを入れて亀裂の入った堤防を守る「フルコンシート張り」「T型マット」、堤防の法面に鋼板で半月を作る「月輪の輪」工法、都市型の被害を想定したマンホール噴出防止など訓練がくり広げられた。また、災害時支援ボランティア、女性防火の会、防災会など市民約50人も参加してプランターやピクニックシート、ゴミ袋など家庭内にある身近な物に砂や水を入れて住宅への浸水を防ぐ工法を体験した。
川の中では、消防署員が中州に取り残された人を救命ボートで運び川岸からはしご車にのばして救出する本番さながらの訓練も行われた。
同市では、1974年9月に台風による増水で多摩川の堤防が決壊、住宅18棟が流出し2棟倒壊す災害が起きている。