「多摩川ナシ」のブランドで知られる川崎のナシ農家を支援しようと、川崎市フルーツパークが生産技術者の養成事業に乗り出した。この事業は、一般市民を対象にした「多摩川ナシ栽培支援講座」で、2年間にわたりナシの栽培・販売の作業を体験、一定期間出席した市民には修了証を交付し、人手不足に悩む生産者に助っ人として派遣することも視野に入れており、農業就労を希望する都市市民の手で生産者を支援する内容。2月10日午後2時から、フルーツパークで受講希望者に説明会を開催する。
写真=ナシの人工授粉作業
「長十郎」のふるさと川崎市は、江戸時代初期の17世紀半ばには大師河原(川崎区)でナシが栽培された記録がある。江戸時代から明治にかけて南部地区で特に盛んだったナシは、生産地が徐々に多摩川を北上し、最盛期の1939年には作付け面積が約230ha以上と関東一の生産地となるほどの発展を遂げた。
都市化とともに栽培面積が減ったが、現在でも多摩区を中心に約44ha、180件の農家が生産しており、生産技術も高い。しかし、小規模な生産者のなかには、高齢化で後継者不足に悩んでいる人も多い。ナシは、木を植えてから出荷できるまで10年以上かかるため、新たな作付けの拡大は難しく、将来にわたって安定した生産は、危ぶまれ始めている。
川崎市は、1959年に「よみうりランド」遊園地隣の多摩区菅仙石にフルーツパークの前身「園芸技術普及農場山地果樹試験場」を設置、丘陵地のナシ栽培の技術向上や農家の指導、研究を行っており、生産農家の信頼も厚い。生産者の中には、単なるお手伝いではなく、仕事を任せられる人を望む声もあり、一方、都市住民の中には、農産物の生産に汗を流し就農を希望する人もいることから、今回の講座が企画された。
講座は4月開講で、原則毎月1回。1年目はフルーツパークで職員から栽培全般の基本的な学習と実習、2年目は協力農家で実習を中心に学ぶ。実習の内容は、人工授粉、摘花、袋掛け、病害虫防除、こずえの管理、収穫、販売実習、土作り、せん定など。2年間で21回の講座のうち、17回以上参加した市民に修了証を交付し、援農者名簿に登録、受け入れ先の農家があれば、助っ人として有償で働く。
対象は、川崎市内在住の65歳以下で講座終了後に援農に参加できる、ナシ栽培に興味や関心がある人。費用は、1年目が2400円、2年目が7000円。このほか教科書代1100円程度と保険料(実費)。作業服、靴、せん定ばさみなどの道具を持参する。定員は20人で応募多数の場合は抽選。
申し込みは、往復葉書の往信欄に郵便番号、住所、氏名、生年月日と年齢、電話番号、応募動機、返信欄に自分の郵便番号、住所、氏名を記入して2月18日(必着)までに〒214-0006川崎市多摩区菅仙谷3-17-1 川崎市フルーツパーク多摩川ナシ栽培支援講座」係へ郵送する。
問い合わせは電話044(945)0153。
フルーツパークのHPでも詳細が載っている。(“http://www.city.kawasaki.jp/28/28fruits/home/parkhp/top.htm)