川崎市麻生区上麻生6丁目の鈴木有さん(69)方で、小正月の行事のひとつ「繭(まゆ)玉飾り」の伝統を守り続けている。
かつて養蚕が盛んだった川崎市北部では、マユの豊作を願い繭玉飾りを作る家が多かったが、養蚕農家がなくなったいまは、この小正月行事を行う家も少なくなっている。
繭玉飾りを作るのは、主に養蚕に従事する女性の役目とされ、鈴木さんの妻日出子さんが結婚した当時、すでに養蚕はしていなかったが、毎年作り続けている。繭玉は、上新粉で作った直径2cmほどの団子を約170cmのカシの枝に差し、お神酒と、養蚕の神様のお札を花瓶にさし神棚のある座敷の床の間に14日と15日の2日間飾った後、焼いたり汁に入れて家族全員で食べるのが習わしという。
日出子さんは「いまは養蚕も農業もしていないが、伝統行事を大切に守りたい」と話している。