川崎市と小田急が向ヶ丘遊園跡地で基本合意:緑地保存し市民に開放

(ボランティア市民記者・山中正剛)

11月24日川崎市役所で、阿部孝夫川崎市長と松田利之小田急電鉄社長が共同記者会見し、2002年3月の閉園後、跡地利用が懸案となっている向ヶ丘遊園について、現在ある緑地をそのまま残し、敷地の大部分を市民に開放することを内容とする、6項目から成る「向ヶ丘遊園跡地に関する基本合意書」を発表した。

基本合意は、跡地全体を5つのゾーンに分けて考え方を示した。(小田急電鉄HP参照http://www.odakyu-group.co.jp/release/2004/11/yuuen/map01.html)このうちばら苑と周辺雑木林を含む7.4haは川崎市が今年度から3年程度かけて地権者から買い取ることを決めている。
残りの21haを所有・賃貸している小田急は、緑地内の緑を保存し、市は保存に必要な支援を行うことを明示した。これによると対象区域は緑地編入(約5ha、計画緑地の隣接地)と樹林地(約2ha)、ガーデン(約7ha)、事業(約7ha)に分けられる。事業ゾーンは従来観覧車やジェットコースターなどがあった比較的緑の少ない地域であって、小田急は高齢者用の住宅など医療、介護、教育といった事業を検討中。市は合意にふさわしい事業計画かどうかを見極めた上で都市計画緑地の区域から除外する。
小田急は今後1年間かけてさらに詳しい計画を作成し、100億円をかけて5年後の完成を目指すという。
両者は月1回程度の協議を重ね、今回の合意に至った。川崎市の担当の環境局公園緑地課によると協議には、市側はできるだけ緑を残してほしいという方針で臨んだ。一方、小田急電鉄側の担当の生活創造事業本部(当初はレジャー関連事業部)では、閉園直後は社内で全面開発も含めてさまざまな検討を行ったが、跡地の多くが都市計画緑地のため都市計画変更の手続きが必要として、市と協議することになった。
この合意書によって、当初は全面的な開発も予想された跡地が、市民が憩える緑地として保全、活用される見通しが高まることになった。
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