手作りのいかだで川下りのタイムやアイデア、デザインを競う14回目の「狛江古代カップ多摩川いかだレース」(同実行委員会主催)が7月18日に行われた。レースは、狛江市内の通称五本松から宿河原堰(ぜき)手前までの全長約1・3キロメートルの区間で96チームが出場して行われ、「チーム・ラフティー」が3年連続4回目の総合優勝果たした。
レースは午前9時半にスタート地点の川岸で開会式が行われ、昨年の優勝の「チーム・ラフティー」から矢野裕・狛江市長にカップの返還ののち、初出場の向の岡工業高校機械課(川崎市多摩区)の渡部潤基君が選手宣誓。
午前10時から8チームずつが10分間隔でスタート、ゴールをめざして川を下った。エントリーした99チームのうち、新潟地方の水害のため狛江市の友好都市川口町などが直前になって参加できなかったものの、参加した96チームは川面で熱い戦いをくり広げ、94チームが完走を果たした。
河岸にはチーム関係者をはじめ、アマチュアカメラマン、観客など多数の市民が詰めかけ、多摩川の夏の名物行事を楽しんでいた。
ことしは、空梅雨で例年に比べ川の水量がかなり少なく、いかだがこげるのはスタート地点から150メートルほど。その先の100メートル余りは水深が20センチにも満たない浅瀬が続き、各チームともいかだを引いたり、押したりして走るという障害物競走さながら。川底の石に足を取られて転ぶ選手や、狭い水路でいかだが衝突する光景が見られた。
アイデア部門の優勝をめざすチームは、水深が浅いことを想定していかだを軽量化をしたためか、例年のように水を吹き出したり煙を出すなどの大がかりな趣向はなかった。それでも、オリンピックイヤーや人気ドラマ「新撰組」にちなんだいかだなどユニークな形やコスチュームで見物客を楽しませた。
最後の2レースは、前年の上位チームによるスピードレースとして設定され、水しぶきを上げてゴールをめざす姿に岸から盛んな声援が上がっていた。
レースの結果は、タイム部門では一般の部が「チーム・ラフティー」(狛江市)が昨年より3分33秒遅い12分22秒、レディス・ジュニアの部は「アメンボ」(藤沢市)が同じく4分10秒遅い16分10秒で優勝した。学生の部は「失笑」(渋谷)が、2連覇を狙う「ボーイスカウト狛江第一団ベンチャー隊」を押さえ、昨年より44秒早い16分08秒で初優勝した。
企画部門の最優秀賞はバス運転手のグループ「小田急バス」(狛江市)が。1年前から調布市仙川駅から白百合女子大学などを走っている通称「鬼太郎バス」と呼ばれる自社路線のコミュニティーバスをモデルにした妖怪バスで、2度目の受賞を果たした。
過去最多の4回優勝を達成した「チーム・ラフティー」の巣鴨信男キャプテンは「昔のメンバーの奥さんが昨秋、33際で亡くなり、その供養のためにも優勝したかった。これまで(7回出場)で一番水が少ないように感じたが、6月の終わりから練習を重ね、走って体力を消耗することを少なくし、みんなの力を出し切れたことが勝利につながった」と喜んでいた。
アイデア部門優勝の「小田急バス」の勝本惠司キャプテンは「いつもバスにちなんだものを制作しているが、今回はデザインがすぐ決まった。仲間10人と2カ月前から勤務の調整をして時間をつくり制作した。このいかだは1カ月ほど狛江営業所(狛江市中和泉5-17-23)に展示する予定なのでたくさんの人にみてもらいたい」と話していた。
土屋省三実行委員長は「多くの人の協力でことしも盛大に開催でき、無事レースが終えられてよかった。これからも狛江の名物行事として定着させていきたい」と喜んでいた。
また、矢野市長は「このレースは川に親しむ絶好の機会。来年は15回を迎えるため、既に準備を進めていると聞いている。狛江の街を元気にするためにも、多くの人に応援してほしいですね」と話していた。